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藤井聡太八冠復活を阻止+A級復帰「平成の怪物」糸谷哲郎36歳が今、再びアツい「国立大学院卒…父も東大卒」「哲学で人生の究極の価値を」 

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田丸昇

田丸昇Noboru Tamaru

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photograph byHiroshi Kamaya

posted2025/03/13 06:00

藤井聡太八冠復活を阻止+A級復帰「平成の怪物」糸谷哲郎36歳が今、再びアツい「国立大学院卒…父も東大卒」「哲学で人生の究極の価値を」<Number Web> photograph by Hiroshi Kamaya

藤井聡太七冠の叡王戦挑戦阻止に、順位戦A級復帰。今、糸谷哲郎八段が絶好調だ(2023年撮影)

 両者の初対局は18年の王座戦で、藤井が終盤で一気呵成の寄せで勝った。その後、銀河戦決勝(20年)、A級順位戦(22年)、将棋日本シリーズ決勝(23年)、朝日杯将棋オープン戦準決勝(24年)で大きな勝負を戦ったが、糸谷はいずれも敗れて通算8連敗していた。

 叡王戦の対局は、後手番の糸谷が誘導して横歩取りの戦型になった。中段で双方の飛車角が入り乱れる展開から、糸谷が敵陣に厳しく攻め込んで有利になった。藤井は懸命に受けたが、糸谷は寄せの包囲網を絞っていった。そして糸谷は竜と馬を鮮やかに捨て、11手詰めで玉を仕留めた。

 藤井は「早い段階から思わしくない展開になりました。実力を高めて来期の叡王戦に取り組みたい」と、終局後に語った。その結果、年内の「八冠復活」は消えた。タイトル戦連続出場は19回で止まった。

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 糸谷は「とりあえず1勝できて良かった」と笑顔を見せた。叡王戦決勝(対戦相手は永瀬拓矢九段-斎藤慎太郎八段戦の勝者)で勝てば、タイトル戦に4年ぶりに登場する。

来期A級復帰…「平成の怪物」が再び覚醒するか

 糸谷八段は今期順位戦でもA級に2期ぶりに復帰昇級した。2年前の最終戦で対局場の静岡市「浮月楼」の庭で桜を見て、「散っても来年に咲く桜のように、自分も返り咲きたい」と語ったことが叶った。

「平成の怪物」が令和の今年に、雄叫びを再びあげることを期待したい。〈将棋特集:つづく〉

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