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「一人のプロレスラーが消える」上谷沙弥と中野たむ“敗者即引退マッチ”の疑問「なぜ上谷まで?」…スターダム社長「会社は悪く言ってもらって構わない」 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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posted2025/03/07 17:04

「一人のプロレスラーが消える」上谷沙弥と中野たむ“敗者即引退マッチ”の疑問「なぜ上谷まで?」…スターダム社長「会社は悪く言ってもらって構わない」<Number Web> photograph by Essei Hara

敗者退団マッチに敗れた中野たむと、勝利した上谷沙弥。4月27日の横浜アリーナでは、赤いベルトもかけた「敗者引退マッチ」が行われる

女子プロレス界が一人のスターを失うことに

 中野の名前はホームページの選手リストから一時削除された(現在はフリーとして掲載中)。スターダム専属契約解除とフリーとしての新たな契約が4月27日まで取り交わされたことが、翌日に岡田太郎社長から正式発表された。中野はスターダムを退団したが、すでに決まっているイベントには出るという。

 2017年、中野はスターダムにやってきた。「こんな子が大丈夫か」と多くの人が思った中野はトップスターになった。その後を追うように上谷がスターダムに入ったのは2019年。抜群の身体能力で躍進した。精神的な弱さは感じられたものの、中野戦で腕を負傷するアクシデントから蘇った上谷はそれをすべて中野のせいにして、吹っ切れたかのようにのし上がってきた。

 理不尽に責任を押し付けられても、中野は「私が上谷をこの世界に引き込んだのだから、すべて飲み込む」と受け止めた。だが昨年12月29日、両国国技館での負傷アクシデントを装う“だまし討ち事件”で赤いベルトを上谷に奪われてしまった。

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 さすがの中野も、これには「復讐」の言葉を叫んだ。

 そしてコズミックエンジェルズの玖麗さやかをめぐって上谷がちょっかいを出してきたことが今回の退団マッチに発展し、さらには引退マッチへと加速していったのだった。

 中野が踏みこんだアクセル。それに上谷が乗っかる格好で、4月27日、横浜アリーナで「敗者即引退マッチ」が行われる。今度は退団では済まない。どちらかのレスラーが消えることになる。女子プロレス界は一人のスターを失うのだ。

 人気女子レスラーが引退をかけて戦うのは、1979年2月27日、日本武道館で行われたビューティペアのジャッキー佐藤vs.マキ上田のWWWAシングル王座戦以来だ。

 中野は赤いベルトを取り返すことを宣言しているし、その先には岩谷麻優の持つIWGP女子王座との二冠戦まで見据えている。そこに向かうためには勝つしかない。だが、現状では上谷の勢いが中野を上回っている。中野はかなり分が悪い。

 現時点では、悲しい「たむコール」の中、中野が涙して横浜アリーナのリングを去る情景しか思い浮かべることができない。

【次ページ】 岡田社長「会社のことは悪く言ってもらって構わない」

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