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「クボは2回目だぞ!」マドリー名将が不服そうだが久保建英は「あんなのファールじゃないだろ?」とばかりに…“名門の圧vsソシエダの熱”を激写
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中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2025/03/04 17:34
古巣レアル・マドリーとのスペイン国王杯準決勝に臨んだ久保建英。覇気を見せた
その中で右サイドの久保は、相対する左サイドバックのフラン・ガルシアへの激しいチャージを見せた。ガルシアは、相手のキーマンとなるビニシウス・ジュニオールへのパスの出口となっており、久保がそこを塞いだことで、リズムを相手に渡すことを防いだ。
ソシエダの勢いはプレッシングだけではなかった。前半4分にはボックス内でブライス・メンデスとのパス交換で抜け出した久保が、キーパーを強襲するシュートを放っている。さらに得たCKでは、キッカー久保からの鋭いボールに、ブライスがニアで反応しチャンスを作った。
序盤よりガンガン攻めていくという覇気あるメッセージに、ゴール裏の熱狂的なサポーターだけでなくスタジアム全体が呼応し、渦を強めていった。
アンチェロッティが「クボのファールは2度目だぞ!」
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ただそんな勢いが逆手に取られてしまうのも、またサッカーだ。
攻勢にもかかわらず点の取れない焦りが生まれ始めていただろうか、攻守の要スビメンディが相手ボックス内への侵入を阻まれると、マドリーは一気にカウンター攻撃へ加速。マドリーMFベリンガムの自陣からのロングフィードへ反応したのは、この日先発となったエンドリッキ。18歳のブラジル人FWは、並走するソシエダDFスベルディアを置き去りにするようにワンタッチでボールをコントロールすると、そのまま左アウトサイドで冷静にゴールへ流し込み、先制に成功する。
それを見届けるソシエダのメンバーには悔しさ、やるせなさが混ざり呆然とした表情が見えた。
思いがけない失点ではあったが、イレブン、サポーターの勢いが消えることはなかった。
そこには少なくない怒りも混ざっていただろうか。この日の審判は、ややプレーを止めるジャッジが多く、ミスジャッジではないものの、相手有利の小さなファールの積み重ねが、ホームサポーターからするとマドリー贔屓と結びついた部分は強く、失点後も、スタジアム全体から止まることなく選手を後押しする声が響いた。


