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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
世界陸上の代表選手が出る確率は低いが…それでも青学大の「マラソンシーズン大躍進」が持つ“本当の価値”「箱根駅伝の練習でマラソンにも…」
text by

山崎ダイDai Yamazaki
photograph byYuki Suenaga
posted2025/03/03 11:02

東京マラソンで果敢に世界トップ級のランナーに食らいついた青学大の太田蒼生(4年)。青学勢がマラソンに出場した意義は、競技結果だけではない?
整理してみると、順当にいけば代表は小山、吉田、近藤の3人となる公算が非常に大きい。若林や黒田といった青学勢は大善戦したものの、いずれももう一歩届かなかったともいえる。
ただ、そもそも箱根を走った後の現役大学生がマラソンの日本代表選考に絡む可能性があるというケースそのものがこれまでは非常に稀だった。しかも、それが複数人いたというところにいまの青学大の勢いを感じずにはいられない。
マラソンでの「青学旋風」が持つ意義
もうひとつ、今回の一連の「青学旋風」で大きかったのは、箱根駅伝という超人気コンテンツが持つ注目度と話題性を、その後のマラソンシーズンまで引っ張ることに成功したということだ。
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これまでであれば年始の箱根駅伝が終わった段階で、よほどのコア層を除けばファンの興味も一段落していた。だが、箱根後も続々と地上波放送があるような一線級のマラソン大会に、箱根路で顔を知られた人気ランナーが出場し続けることで、ライトなファンたちの興味と関心を引き続けた。結果的に長距離競技への注目度がこれまで以上に上がったことには大きな意味がある。
日本陸連の高岡寿成シニアディレクターが大阪マラソン後に「箱根駅伝で勝つためには相当な練習量が必要。その練習量はマラソンにも生きてきている」と述べたように、おそらく今季の結果を見て、今後は青学大だけでなく他大のランナーからもマラソンにトライする選手は増えることが想定される。
箱根駅伝という世界的に見ても稀有な競技イベントの盛り上がりを、これまで以上にうまくマラソンへとつなげることができれば――日本マラソン界の更なるレベルアップにつながっていくのかもしれない。
