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「えっ、日本人なのにドラゴンボール知らないの?」頭脳派セッター関菜々巳(25歳)が異国で痛感した“無知な自分”「自己肯定感が低い自分を変えたい」
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph byTakahisa Hirano
posted2025/02/28 11:04
今季からイタリアの強豪イモコ・コネリアーノでプレーするバレーボール日本代表・関菜々巳(25歳)
「日本にいる選手は経験を積んでいる。じゃあ自分はどうなのか、と思うと不安は消えないですよ。前から憧れていたアーシャ(ウォロシュの愛称)のトスを間近で見られるのはそれ以上の価値があるんだ、と思うけれど、トスだけじゃなくレシーブも日本にいた時よりも全然上がらない。本当に成長できているのかは日本に帰らないとわからない。幸せだけど、不安。いろんな感情が交互にくる感じです」
圧倒的な技術を見せつけるチームメイトたちの姿に刺激を受け、「もっとうまくなりたい」と思うのは自然なこと。だが、いくら練習を重ねても、試合に出られなければ現在地は計れない。
「(今は)ヘタクソになっているわけじゃないから大丈夫、って自分に言い聞かせています。それに、せっかくこんなにすごい場所にいるんだから、お客様にはなりたくない。みんなはそんなこと思っていないかもしれないけど、そうなりたくないから頑張るし、技術だけじゃなくコミュニケーションも大事だから、英語もまだまだしゃべれないけどちょっとでもみんなと過ごす時間を増やすために食事へ行ったり。なんだかんだ、やっぱり毎日必死ですね」
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充実した毎日でも常に不安に苛まれるのには、関の心を縛りつける苦い記憶があった。
〈第2回に続く〉

