バレーボールPRESSBACK NUMBER
「えっ、日本人なのにドラゴンボール知らないの?」頭脳派セッター関菜々巳(25歳)が異国で痛感した“無知な自分”「自己肯定感が低い自分を変えたい」
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph byTakahisa Hirano
posted2025/02/28 11:04
今季からイタリアの強豪イモコ・コネリアーノでプレーするバレーボール日本代表・関菜々巳(25歳)
コネリアーノではいきなり左ハンドルの専用車が与えられた。それでも車がなければスーパーマーケットにすら行けない。カギの位置すらもわからないまま右往左往していた関を助けてくれたのが、チームメイトでリベロのモニカ・デジェンナーロだった。
「最初に会った時から『何かあったら言ってね』と声をかけてくれて、本当に助けてくれる。洗濯機や食洗機の使い方、電車の乗り方や切符の買い方も全部教えてくれたし、家から体育館まで30分ぐらいかかるんですけど、最初はモニが助手席に乗ってくれて『ここは危ないから気をつけて』と教えてくれた。私からすればものすごい人なのに、最初からすごくフレンドリーで、優しい。大げさじゃなく、毎日、私幸せだって思っています」
「日本にいた時の自分は無駄が多かった」
車の運転や新生活に慣れていくうちに、バレーボールでも少しずつ心に余裕が生まれている。
ADVERTISEMENT
「日本にいた時の自分はすごく無駄が多かったな、って。練習の1時間半前に行って、効果があると思うストレッチは毎日全部やる。こんなにやらなくてもいいのかなと頭で思っているくせに、『やらなかったら明日はダメかもしれない』と思うと捨てられなかった。効果よりも、自分の心の安心のためにやっていたんです。でも、イタリアに来て、こんなに全部いらないよなと思えるようになった。だから今は、バレーボールに対してすごくポジティブに向き合えている気がしています」
世界の頂点に立つ環境に身を置けばきっと成長できる。そう信じてコネリアーノにやってきた。それでも、焦りはある。

