「やっぱりこういう要求をしてくるか！」“東京ヴェルディに城福浩を呼んだ男”が明かす城福監督の仕事…強化部長・江尻への問い「タイトルか、J1残留か」 

「ジュビロが来季は鈴木を中心にディフェンスラインをつくるつもりだ、という話は噂に聞いていました。だから出したくない、と。そんな彼に対して、自分はあえてこう伝えました。『うちに来たからってレギュラーは確約されてはいないし、競争してもらう。もしかしたら失敗するかもしれない。でも、人が伸びる時って、やっぱり退路を断って人生を懸けたやつにしかチャンスはめぐってこないよ』。そう伝えさせてもらいました」

　ディフェンスラインには、綱島悠斗も、谷口栄斗も、林尚輝も、千田海人もいる。そんな中でレギュラーの座を掴めれば、次のステップに必ず近づける――。江尻が伝えた「数式」はたぶん鈴木海音の中で強く響いた。だから彼はサックスブルーのユニフォームを脱ぎ、緑のジャージに袖を通すことに決めた。

　城福浩の全く手を抜かない日々のトレーニングが浸透するに従って、かつて江尻が強化部長に就任した際の、ヴェルディに漂っていた生ぬるい空気は、今はもうない。今のヴェルディのクラブハウスの中では、不平を言うな、他人の陰口を叩くな、という空気はない。そもそも不平を言う奴もいなければ、陰口を叩く奴もいないからだ。

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「あとはこれをどれだけ長く継続していけるか。強いチームができつつある、その感覚はあるんです」

タイトル獲得か、J1残留か？

――じゃあ最後にひとつ伺います。2025年シーズン、江尻強化部長が求めるものはなんですか？　タイトル獲得か、もしくはJ1で生き残ることか。

「正直に言うと、生き残りだと思っています。2年目ってそんなに甘くはないですよ。去年みたいにノーマークにはならないし、どこからもヴェルディは放っておいたらまずいぞ、って思われていますから。選手の顔ぶれを見れば、やっぱり他のチームにはいい選手がいっぱいいる。戦力に差があるという事実は正確に把握しておかないといけないと思います」

　そう、今季も予算で下から2、3番目だというヴェルディの強化部長は、いつだってクールに状況を分析しなければいけないのだ。

＜続く＞

#3に続く

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