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「アホ!バカタレッ!」巨人にドラフト指名回避された星野仙一だが…中日で監督批判しても炎上しなかったワケ「名古屋マスコミが星野さんを」
posted2025/02/23 17:01

2013年日本シリーズ、原辰徳監督と写真に納まる楽天時代の星野仙一監督。巨人にドラフト指名されなかった真相とは
text by

江本孟紀Takenori Emoto
photograph by
JIJI PRESS

星野さんが巨人から指名されなかったワケ
星野さんの大学時代の通算成績は、23勝25敗と負け越しているが、通算防御率は1.91と立派な数字を残している。
もともとスリークォーター気味に投げ下ろすピッチングフォームで、インコースへのコントロールが抜群だった。プロで活躍できたのも、そうした武器があったからだ。
プロでの志望球団は巨人。だが、結局指名されずに中日に入団することになった。星野さん本人としては、「縁もゆかりもない名古屋なんて……」と、当時は都落ちした思いにさらされたはずだ。
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だが、これには原因があった。星野さんは大学2年のときにひじを故障していたのだ。
大学4年の間で、星野さんが一番投げたシーズンは2年の春である。64イニングを投げて、3勝4敗、防御率は2.25である。大学4年の秋のシーズンも防御率が2点台だったが、それ以外は1点台で落ち着いている。つまり、証言どおりこの時期はひじを痛めていたとみるべきだ。
これは当時をよく知る人から聞いた話だが、星野さんは右ひじにしびれを感じていた。握力も相当落ちたので、医者に診てもらうと、
「星野君、手術の必要なんてないよ。君のひじはもう治らないんだからね。でも薬だけは一応飲んでおくといい」
「裏人脈」が情報の発生源だったのでは
星野さんにとって、まさに死の宣告と同じくらいショックだったはずだ。プロ野球選手を夢見て、岡山から上京して東京の大学に入ったのに、プロに行けないなんて……。
こうなったら薬だけ飲んで、あとは運を天に任せよう――そんなことを考えていたら、ある日突然、ひじのしびれが消えてしまったそうだ。
かくして、ひじは治って元通りになったのだが、どういうわけか巨人はこの時期に「星野は右ひじに爆弾を抱えている」という情報をつかんだらしい。