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プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
「マリーゴールドのスーパールーキー」山岡聖怜18歳とは何者か?「自分を過大評価していました」試合後に涙…高校生プロレスラーの素顔《特別グラビア》
text by

原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/02/15 18:00

「マリーゴールドのスーパールーキー」とプロレス界の注目を集める山岡聖怜。18歳の現役高校生レスラーでもある
「復帰まで1年」の大ケガを負い…
ビーチレスリングという競技がある。砂地の直径6メートルの相撲の土俵のような円の中で、立ち技で投げを放って戦うものだ。古代ローマやギリシャではレスリングが砂地で行われていた。その古い戦いのスタイルを、UWW(世界レスリング連合)が施設の整っていない国や地域でのレスリング普及のために取り入れているプログラムだ。山岡は2022年8月、茨城県の大洗で行われた全日本ビーチレスリング選手権(高校生)軽量級で1位になっている。
「ビーチレスリングは遊び半分で出てました。楽しかったです。海で遊んでいるから砂も気にならない。試合が始まる前も足だけでもチャプチャプして、終わったらザブーンと海に飛び込んでまた遊ぶ。景品やベルト……違う(笑)。ベルトじゃなくてメダル、その時はトロフィーもいただいて、初めての優秀選手賞。たまたま同じ学校の先輩とやったんです。もともと行っていた学校はオリンピックを目指す選手が多い所でした」
山岡は有望な選手だった。レスリングで憧れた選手がいた。
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「向田真優(東京五輪金メダリスト/現・志土地真優)さんに憧れていました。憧れて同じ高校に入った。優しくしてもらったので、もっと憧れちゃいました」
だが、山岡はケガに悩まされた。大ケガをしてしまったのは、地元に帰ってレスリングの練習をしていた時だった。
「グレコを始めた子とやっていたら、そっちに回す? っていう方向に足を回されちゃって、右足のヒザ十字じん帯断裂。ああ、どうしよう、と。手術しなくて済めばよかったんですが、手術しなくちゃいけなくなった。手術したら1年間レスリングを休まなきゃいけない。もちろん家族にも相談しましたが、ほぼ自分で決めました」
手術を選択した。1年間レスリングができなくなってしまった。山岡は通っていた高校をやめて、通信制の高校に移った。
「レポート出しています。(通信制でも)月に何日かは出席しなくちゃいけないんです」
ヒザは昨年6月に完治した。そして8月、山岡はマリーゴールドに入団した。落ちた筋肉を戻すために試合のない日は毎日トレーニングに明け暮れた。腹筋は見事に割れている。
「パリオリンピック? 見られなかったです。(年齢が)近すぎて、見られない。ちょっとしか見られなかった」