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プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
「マリーゴールドのスーパールーキー」山岡聖怜18歳とは何者か?「自分を過大評価していました」試合後に涙…高校生プロレスラーの素顔《特別グラビア》
text by

原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/02/15 18:00

「マリーゴールドのスーパールーキー」とプロレス界の注目を集める山岡聖怜。18歳の現役高校生レスラーでもある
レスリングとプロレスを「真逆」と考えるワケ
「東京に出てきた時はレスリングをやっていたから、プロレスとの接点はなかったです。最初、誰の試合を見たかは覚えてない。まったくプロレスは知らなくて、スターダムで解説をしていたお姉ちゃんを見に行ったんです。それが、自分でもなんでかわからないけれど、帰りにはもうプロレス大好きになっていた。ジュリアさんのあの空気感、目力、会場の雰囲気に惹かれました。作り方がうまくて自分まで惹き込まれちゃう。格好いいし、かわいい。入場ゲ-トに近いほうの2列目で見ていました。その日、気づいてなかったけれど、高橋奈七永さんの写真も撮っていました」
山岡はそれから何回かプロレスを観に行くうちに、「私もリングに立ちたい」と思うようになっていたという。
デビュー前は練習に明け暮れた。
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「試合がない日はほぼ毎日練習していました」
デビュー戦の対戦相手が決まった時、筆者が山岡に「いよいよだね」と声をかけると、静かにうなずいた。
1月3日、大田区総合体育館でデビュー戦。
「レスリングとプロレスの違い。全然違う。難しいです。レスリングは表情も声も出さない。プロレスは声も表情も大きく出さなきゃいけない。真逆。小さくするか、大きくするか。全部真逆ですね。私、常にバタバタしすぎて、もっと余裕を持てるプロレスラーになりたい。いろんなところでちゃんとした意識を持ってできるレスラーになりたい」
山岡は花道に姿を見せると、走った。「入場だけ緊張していた」というが、リングに早く入りたいという気持ちがそうさせたのだろう。相手は安定した実力のMIRAIだ。スポットライトを浴びた山岡は観客に向かって低いファイティングポーズを取った。姉が妹の激励に花束を持ってリングに上がった。
レフェリーは和田京平。山岡はガブってコントロールし、腕を取りに行く。キムラロック、腕ひしぎ十字固め、アキレス腱固めを果敢に狙っていった。MIRAIのキックや逆片エビ固めに耐える山岡。力強いボディスラム、サイドスープレックス。
担ぎ上げた時がパワーを感じさせる瞬間だ。何をするんだという期待感がわく。ジャーマンスープレックスもきれいだった。だが、叩きつけられて、最後はMIRAIのラリアットに沈んだ。デビュー戦としては、十分過ぎるくらいよかった。