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甲子園の風BACK NUMBER
あの甲子園出場校で異変「なぜ熱血監督はやめたのか?」センバツ半年後“まさかの退任”…本人が語る“猛練習はNG”の今「地方公立校で甲子園は厳しい」
text by

柳川悠二Yuji Yanagawa
photograph byJIJI PRESS
posted2025/02/07 11:01
昨春のセンバツ甲子園に出場した北海道・別海高校
「私立とは違って、(練習時間や帰宅時間など)いろんな制限があるなかで、指導しなければいけないというのは当然理解していました。ただ、公立校はやっぱり、学校の先生方が監督をやるべきかなと思います。たとえば、野球は熱心に頑張っているように見えても、授業中の態度が悪い生徒がいたとする。それを学校から指摘されても、私自身は部活動以外のことはわかりませんから、口を挟むことはできない。そこに、外部の人間の難しさがある」
「学校とぶつかったのは休日の使い方です」
全国の公立高校を取材すると、教職員の働き方改革によって、練習時間が確保できないという声も耳にする。つまり、教職員が放課後に“残業”で部活動を指導する時間帯を少なくしようという動きだ。その結果、野球部を強化しようにも、十分な練習時間が得られない問題に直面する。
完全下校の時間までには生徒も教員も学校を離れなければならないというルールを定める学校も少なくない。地方の公立校で、7限目まで授業があるとなると、練習は16時ぐらいからとなる。すると、実質2時間ほどしか練習ができない。
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「平日はしっかりと、19時の完全下校を守っていました。学校とぶつかったのは休日の使い方です」
積雪量の多い別海町では1年のうち5カ月しかグラウンドを使った練習はできない。それゆえ、貴重な実戦練習や対外試合は土日に集中する。
「対外試合をやるとなると、どうしても遠征になってしまいます。たとえばバスを借りて別海から釧路まで2時間掛けて向かい、練習試合をする。それなりの経費をかけていますから、1試合だけで終わることはない。ダブルヘッダーで試合をして、また2時間かけて帰って来る。どうしても一日掛かりになってしまいますよね。それがダメだと言われてしまえば、田舎の公立校が甲子園に出場するなんて無理ですよ」
「猛練習」と「学校の方針」のジレンマ
大きな体躯ながらいつも仏顔でニコニコし、出会った人に温厚な印象を抱かせる島影も、グラウンドでは時に鬼となり、厳しい言葉を投げかけることもある。

