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ベルガー、バリチェロ、ボッタス、ペレス…記録には残らずとも、最強王者たちのタイトルに貢献した「名脇役」たちの記憶 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byGetty Images

posted2025/02/07 17:00

ベルガー、バリチェロ、ボッタス、ペレス…記録には残らずとも、最強王者たちのタイトルに貢献した「名脇役」たちの記憶<Number Web> photograph by Getty Images

1990年、マクラーレン・ホンダでチームメイトだったセナ(左)とベルガー

 ボッタスはメルセデスに移籍した2年目の18年のロシアGPで屈辱的なチームオーダーを命じられ、優勝をチームメートのルイス・ハミルトンに献上。一時は引退も考えたが、21年までメルセデスに在籍した。その5シーズンでハミルトンがタイトルを獲得したのはじつに4回。コンストラクターズ選手権では5年間すべてのシーズンでチームのタイトル獲得をサポートし続けた。

 メルセデスから21年にドライバーズタイトルを奪還したレッドブルで、マックス・フェルスタッペンの最終戦アブダビGPでのタイトル獲得に大きく貢献したのがペレスだった。トップを走りながらピットストップでポジションを下げたハミルトンに対し、自身はピットストップせずにコース上にとどまって抑え込み、後方のフェルスタッペンが差を縮められるようアシスト。フェルスタッペンは無線でペレスの走りを「レジェンドだ」と称賛し、最終ラップでハミルトンをかわして大逆転のレースで王座を獲得した。この年のペレスは、トルコGPでもハミルトンを徹底的に抑え込む走りを披露しており、「打倒ハミルトン」はペレスのアシストがなければ成し遂げられなかっただろう。

記録には残らない貢献

 セナ、シューマッハ、ハミルトン、フェルスタッペンたちが複数ものタイトルを獲得した陰で、名脇役たちはタイトルはおろかチャンピオンシップ争いに一度も加わることなくチームを去った。その貢献は記録としては残っていない。だが、彼らの身を粉にした献身的な走りは、多くの者たちの記憶に永遠に刻まれている。

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 レッドブルがペレスの退団を発表した後、フェルスタッペンは次のように感謝の言葉を贈った。

「あの(初王座を獲得した時にペレスと抱き合って喜んだ)記憶はいまでも忘れない。彼の助けがなければ、アブダビでの奇跡は起こらなかったからね。彼はチームメートとして素晴らしいドライバーだっただけでなく、とても誠実な人だった。だから、チームメートとしてだけではなく、ひとりの人間としても、彼のような人物と一緒に仕事ができたことは僕にとって貴重な時間だった。本当に感謝している」

 3月半ばに開幕する25年シーズンは、だれが栄冠を手にするのだろうか。勝者の裏に新たな名脇役が現れることは間違いない。

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