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プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「どう思う?」「これじゃダメだ」DeNA筒香嘉智がいま明かす日本シリーズ“選手ミーティングの真相”「普通にやったら負ける。勝ちたいなら…」
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鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2025/01/31 17:01
昨年の日本シリーズ第6戦では先制ホームランを放つなどベイスターズ27年ぶりの日本一に貢献した筒香嘉智。流れを変えた第3戦前の選手ミーティングの背景を明かした
「そうですね。牧(秀悟主将)が、連敗した2戦目が終わった試合後に選手全員を集めて『引きずってもしょうがない』『切り替えて頑張りましょう』って、一生懸命話してくれたんです。でもその話が終わった後のロッカールームの空気、選手の表情を見て「みんな福岡に行って、何をやらなければならないかが分かっていないんじゃないかな」と僕には見えたんです。これじゃあ多分、3戦目以降も一緒だなっていう。で、ミーティングが終わって会議室に残って柴田(竜拓内野手)と神里(和毅外野手)、桑原(将志外野手)と僕の4人で『どう思う?』って話をしたんです。そうしたらやっぱり3人からも『これじゃダメだと思います』っていう話が出た。その時にちょうど戸柱(恭孝捕手)さんが『何か話したいと思って探していたんだ』って入ってきた」
――戸柱選手も危機感を抱いていたということですね。
「はい。それでこれじゃあ福岡に行っても同じようになってしまう。だったら福岡に行ったらもう一回、みんなで話をしよう、と。2017年の(日本シリーズを経験した)メンバーからっていう形で話をしましょうってなったんです」
自分じゃない他の人に目を向けて…
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――それで3戦目の試合前に改めて17年のメンバーが一人、一人、思いを話した。
「練習日に宮崎(敏郎内野手)さんとヤスアキ(山崎康晃投手)にも順番に話しましょうと伝えました。で、僕たちの中で混乱が起きないように、誰がどんな話をするかも共有して話をしたんですね」
――筒香選手は何を伝えたくて、どんな話をしたんですか?
「もちろんプロ野球なんで、個々の力、個人の力が一番大事だと思う。個人がいいプレーをして、いいピッチングをしたら勝てるというのは、みんな分かっていることです。でも、個人がいいプレー、いいバッティング、いいピッチングをするために、それが試合で出やすくするための空気というのもある。個人が成績を出すことに集中するのは当たり前で、同時にもうちょっとみんながみんなの、自分じゃない他の人のところに目を向けて、チームとチームメイトをもうちょっとサポートしようという話をしました」
――自己犠牲ということですね。
「あとは集団になったときの強さ、やっぱり1人で戦いに行くより、みんなが一緒に、みんながいるぞっていう集団の強さって絶対あると思うんで、そこを活かそう、と。ソフトバンクが強いのは分かっている。普通にやったら、負けるかもしれない。だから勝ちたいんだったら、それをしないと勝てないという話をしました」
――日本に戻ってきて今のベイスターズの印象を聞いたときに、「いい意味でも悪い意味でも個が強く出たチームになっていた」と話していました。ちょっとその個の強さの悪い面が出ていたということですね。
「結果的に日本シリーズでは、それからチームがキュッとなったんで、多分、今年はすごい変わると思います。ヤスアキも戸柱さんも同じ思いでしたし、僕が意外だったのは神里ですね……彼もチームのあるべき姿にすごい思いがあって、変わりたい、変えなきゃいけないっていうのを思っていた」
17年のチームは「すごいピリッとしていた」
――17年の時のチームにはそういう雰囲気があった?


