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戦力外ピッチャーが落合批判「選手は文句タラタラ。コーチも落合さんに不満ためてる」天才・落合博満44歳vs日本ハム若手「こうして落合は現役引退を決めた」 

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中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

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posted2025/01/21 11:04

戦力外ピッチャーが落合批判「選手は文句タラタラ。コーチも落合さんに不満ためてる」天才・落合博満44歳vs日本ハム若手「こうして落合は現役引退を決めた」<Number Web> photograph by KYODO

1998年10月14日、落合博満44歳の現役引退会見。巨人から日本ハムに移籍して2年で引退を決断した

 上田利治監督もチーム内からの不満の声に、「コーチミーティングでも何度か話し合ったこともある。来年はイチ選手として、と考えている」と落合を特別扱いしないことを明言。会長職となり現場を離れた大社義規オーナーは、「来年は野球の応援に専念する。全試合、君の応援をするために(球場へ)行くよ。優勝してくれよ」と2年目の契約書にサインするオレ流を激励した。さらに上田監督が期待する若手内野手の西浦克拓は契約更改の席で、「落合さんにはつぶれてほしいのが本音です」と大ベテランに宣戦布告。金屏風の前で日本一を宣言した1年前の入団発表とは打って変わって、落合には逆風が吹いていた。

 そんな中、97年12月9日の44歳の誕生日に「株式会社オチアイ企画」の東京事務所を開設。「来年で俺が辞めると思ったら、大きな間違いだ。あと4年間はやるぞ」と21世紀までの現役を宣言する一方で、自身の引き際にも言及した。

「西浦? 言わせておけばいいんだよ。でもな、俺に引導を渡す選手が出てきたら、いつでも辞める覚悟はできてる。この世界は力がすべてだからな。その力がなくなったときは、静かに去っていけばいいんだよ」(週刊ベースボール1997年12月29日号)

「落合は打席に入るのが遅すぎる」

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 落合のプロ20年目のシーズンは、こうして幕を開けるのだ。1998年の日本ハム球団事務所の仕事始めでも、上田監督は「四番白紙」を強調。「ある程度任せていたが、今年は私がしっかり話し合う」とあらためて特権剥奪を示唆した。パ・リーグ監督会議では、試合のスピードアップの論議がされた際、5球団の監督から「打席に入るのが遅すぎる」とオレ流にクレームがついた。

 落合はすでに記者陣に対して、「来年(98年)は一切しゃべらんよ」と伝えていた。“落合広報担当”と呼ばれるほど、チームの広告塔として発言し続けたスタンスから一転、日本ハム2年目は自分の野球に専念することを宣言するのだ。

【次ページ】 44歳落合は怒っていた

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