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「新しいマリーゴールドを見てほしい!」旗揚げから8カ月、林下詩美が“ついに戴冠”「客が入らず“耐える時”もあったが…」ロッシー小川の手ごたえ
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/01/12 17:20
「新しいマリーゴールドを見てほしい!」Sareeeからワールド王座を奪取して歓喜する林下詩美(26歳)。1月3日、大田区総合体育館
“スターダムを追う立場”ロッシー小川の手ごたえ
林下はしっかりとベルトを抱きしめた。
「このベルトの価値を上げる。林下詩美がどんどん大きくなる。私の大きな背中を見てマリーゴールドの選手がどんどん成長していく。前の団体で(ベルトを)取ったのはキャリアが浅いとき、アイコン(岩谷麻優)から取りました。こんなヤツがベルトを取ったと思われても、それを覆す勢いで突っ走った。今はさらに成長して赤いベルトを持っている。責任感と共に。たくさんの大きなものを背負う力が自分にあると思う。このベルトは一心同体。私にとって、ただのタイトルではなく、マリーゴールドを成長させるための責任の象徴。マリーゴールドと林下詩美の名前を世界に広めていきたい」
林下は大怪獣ボジラの相棒として来日した長身のパワーファイター、タンクの挑戦を1月13日に名古屋の中日ホールで受ける。
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「デビューしたての頃は自分よりでかい人たちとの試合はなかなか苦戦しましたが、今はもういろんな人との試合を経験してきました。相手は身長も大きく、体もでかいですが関係なく私は防衛します。強い人との防衛戦を続けて、周りの選手が悔しがったり、憧れたりするような試合をしたいですね。そうやってみんなで高め合っていきたい。他団体にも出て、マリーゴールド最高峰のチャンピオンとして沢山の人に見てほしいです。今マリーゴールドの頂点にいるのはこの林下詩美です。2025年、新しいマリーゴールドを皆さんにぜひ見に来てほしいです」
5月の旗揚げから、小川が思い描いていた風景と現実には違いがあった。後楽園ホールに客が入らないときは小川から「耐える時」という言葉を聞いたこともあった。
小川は頼もしそうに林下を見つめていた。
「レスリングの山岡がデビューしてスポーツの延長線上になればいいなという兆しが見えた。競技をやっている選手たちが入って来られる世界。下地がある選手が出てくるようになってくるんじゃないかな。次のビッグマッチは1周年、5月の代々木第二体育館。今日の人数は上回りたいと思います」
スターダムは12月29日の両国国技館で4023人という観客数だった。追う立場の小川は控え目に言ったが、確かな手ごたえを感じていた。