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「新しいマリーゴールドを見てほしい!」旗揚げから8カ月、林下詩美が“ついに戴冠”「客が入らず“耐える時”もあったが…」ロッシー小川の手ごたえ
text by

原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/01/12 17:20
「新しいマリーゴールドを見てほしい!」Sareeeからワールド王座を奪取して歓喜する林下詩美(26歳)。1月3日、大田区総合体育館
ファンの中にもハシゴを試みた人たちが何人かはいた。どちらも4時間近い興行だったが、1時間半のゴングの違いでは移動の時間を入れると、不確かなハシゴにしかならなかった。
「今日からオマエがマリーゴールドのエースだ」
主催者の発表では、14時半に始まったマリーゴールドが1830人、16時ゴングのスターダムが2054人と、わずかにスターダムが勝った格好だ。プレスの数ではマリーゴールドの方が多かった。マリーゴールドはスーパールーキー・山岡聖怜のデビュー戦もあったからだろう。
3カ月前、後楽園ホールの受付に山岡は座っていた。「スーパールーキーです」と紹介された。「いい目をしているなあ」というのが第一印象だった。
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山岡はとてもデビュー戦とは思えないファイトをMIRAIと繰り広げた。15分を戦って引き分けたのに、マイクまで手にして延長戦を要求した。
セミファイナルでは桜井麻衣が青野未来を倒してユナイテッド・ナショナル王座に就いた。桜井に進歩を感じることができた。
プロレス大賞を手にしたSareeeと、マリーゴールドを背負う運命にある林下の戦いは真っ向勝負だった。意地でも引けない気持ちのぶつかり合いだった。締め合い、踏みつぶし。そして、裏投げvsハイジャックボム。最終的に林下がSareeeに勝利した。
「詩美、今日みたいにできんだったら、最初からやれよ。めちゃくちゃ悔しいよ、オマエに負けて。今日からオマエがエースだ。今日からオマエがマリーゴールドのエースだ。マリーゴールドのみんなをしっかり引っ張っていけよ。そのベルトの価値あげて覚悟して待ってろよ。真紅のベルトを大切に、大事に、熱い、もっと価値のあるベルトにして持っておけよ。取り返しにくるから」
Sareeeはマリーゴールドでは「ひとまずやり終えた」というようにそう話した。
「もちろんまた戦いたいです。Sareeeと林下詩美のぶつかり合いはいつかまた来るであろうものだとも思っています」
そして林下は感謝を口にした。
「Sareeeがマリーゴールドの先頭を走って、マリーゴールドを作ってくれた。すごく感謝している。でも、今日から林下詩美がマリーゴールドの看板を背負ったエースになるんで見守ってください。後悔させません」




