甲子園の風BACK NUMBER
プロ2試合で戦力外通告…“消えた天才”島袋洋奨32歳の告白「真っ直ぐに頼りすぎた」「“たられば”はない」恩師の証言「消耗は宮城大弥の倍以上」
posted2025/01/10 11:05
text by
松永多佳倫Takarin Matsunaga
photograph by
Takuya Sugiyama
“後輩”宮城大弥への本音「こんなに凄い選手に…」
「(宮城)大弥は本当、凄いと思います」
島袋洋奨は、珍しく少し目を丸くしながらそう話した。
現在、島袋は母校の興南高校に職員として勤務し、野球部の副部長兼コーチを務めている。選手たちを指導しているせいか身体は引き締まり、現役さながらの筋肉の鎧を纏っている。
ADVERTISEMENT
「年齢的にもだいぶ下なので、いちファンとして見ている感じですね。自分とはタイプが違うので単純比較はできないですが、まずどんな球でも緩急差をつけてカウントが取れるし、あれだけのスピードも投げられる。正直、高校生だった彼が甲子園で投げているのを見たときは、こんなに凄い選手になるとは思ってなかった。当時は、ですよ。だけど、予想のはるか上をいきましたね。本人の努力の賜物だと思います」
島袋と宮城は9歳の年齢差があるものの、ともに興南高校出身で同じ左投げ、現代の投手としては小柄な背格好もよく似ている。高校時代の実績では春夏連覇を成し遂げた島袋が上回っていたが、プロでの成績は宮城が圧倒している。プロ2年目の2021年に13勝を挙げると、そこから3年連続で二桁勝利を達成。今シーズンは規定投球回に到達できず、7勝止まりだったものの、防御率は1.91。名実ともにオリックスのエースと言っていい。
一方の島袋は、2014年のドラフト会議でソフトバンクに5位指名を受け入団するも、一軍での登板はルーキーイヤーの2試合のみ。宮城と入れ替わるように、2019年に戦力外通告を受けた。
なぜ興南高校が誇るふたつの才能は、これほど両極端な結果に分かれてしまったのか。