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ユニフォーム泥棒、実家にファンが宿泊…“下町のマコちゃん”と愛された益子直美がバレー日本代表で感じた「ぶたれてきた学生時代」とのギャップ
posted2025/01/11 11:02
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
L)AFLO、R)Shiro Miyake
「下町のマコちゃん」の愛称で親しまれ、バレーボール日本代表として活躍した益子直美さん(58歳)。現在は「監督が怒ってはいけない大会」の活動でも大きな注目を集めている。インタビュー第3回では、春高バレー準優勝を経て日本代表に入った頃の驚きのエピソードが明かされる。《NumberWebインタビュー全4回》
共栄学園では厳しい指導を受けながらも、105連勝中の八王子実践を破り第15回春高バレーで準優勝に輝いた益子直美さん。「下町のマコちゃん」と呼ばれ、すでに国内で注目の的だった大林素子さんに勝ったことでも大いに話題になった。
「気弱だった」と振り返る子供時代を過ごした益子さんは、春高バレー準優勝や、日本代表での人気爆発についてはどう受け止めていたのだろうか。
「春高バレーの大会が終わって学校に帰ったら、ファンレターが段ボール箱にいくつも届いていて驚きましたね。あとは自宅の側をうろうろする方とか、学校の最寄り駅の前では、今で言う出待ちをする人がいたり。女子高なのに、バレンタインデーのチョコもいっぱい届きました。春高の前までは誰もわたしのことなんか知らなかったのに、やっぱりマスコミの力はすごいなぁって」
自宅にユニフォーム泥棒も…衝撃の人気度
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あるときは自宅のベランダに干してあったユニフォームが盗まれたことがあった。
「祖母が一人で家にいたんですけど、2階でガタガタ音がするので行ってみたら、ベランダに干してあったユニフォームを誰かが盗る瞬間だったそうです。祖母も何が起きたのかわからずに『お気をつけて』と言って1階に降りてきちゃったとか(笑)。
それに、母がどこか遠くから訪ねて来た高校生ぐらいの男の子を実家に泊めてしまったこともありましたね。おそらくうちを探しているうちに夜になっちゃったんでしょう。わたしは合宿に行っていて不在だったんですけど、もう電車もないのに、心配だから帰すわけにもいかないって。『泊まっていきなさい』って言ったらしくて、それを聞いて驚きましたね。こんなに下町のうちの普通の子供をファンの人が訪ねて来るなんて想像もしてなかったわけですよ。親はありがたい、応援してもらえるって感謝の気持ちが大きかったんでしょうね」
娘が急速に有名になったからこそ起きた事件だったのだろう。