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「デカいだけじゃダメ」春高バレー3連覇を狙う駿台学園・川野琢磨(身長197cm)“異例の挑戦”とは?「石川祐希、高橋藍のように…将来は日本代表で」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph bySankei Shimbun
posted2025/01/05 17:00
今大会注目選手の一人として期待される駿台学園高校・川野琢磨(3年)。春高バレー3連覇なるか
勝利至上主義ではなく、見据えるのはその先。駿台学園の強さはまさにその基軸にあるのだが、川野の話を聞くと、向けられている視点が「今」だけでなく、その「先」にあると改めて気づかされる。
「高校だけなら、高いトスだけを打っていても勝てるかもしれないですけど、その上で同じようにできるかと言えば違う。大学になれば僕と同じぐらいの高さの人はいるから、高さだけで通用するとは限らないじゃないですか。だから、速さも必要だし、ちゃんとリバウンドを取ったり、コースを狙う技術も必要。そもそも、そういうことができないと駿台では試合にも出られないので、自分に必要なことが何かを考えるようになりました」
“デカい”だけじゃ武器にならない
幼稚園の年長からバレーボールを始め、中学でも全国制覇を経験している。体躯にも恵まれたいわゆる“エリート”の部類に属する川野だが、「駿台では試合にも出られない」の言葉はあながち間違いではない。事実、連覇した1、2年時の春高はどちらもスタメンでもレギュラーメンバーでもなかった。昨季まではポジションがオポジットだったこともあるが、守備力や攻撃力、チームとしての形を考えた時、川野より役割を果たせる選手が多くいた。
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ただデカい選手というだけでは、武器にはならない。アウトサイドヒッターに本格転向した今季、特に重視してきたのが「トレーニング」と「サーブレシーブ」。日々の練習や試合で課題だと感じていたことに加え、新たな刺激と経験が川野の意識を変えるきっかけになった。
「去年(2024年)の春高が終わった後から、グレベア(東京グレートベアーズ)の練習に練習生として参加していたんです。高校生のレベルだったらめちゃくちゃ強いサーブに見えるボールも、簡単にオーバーハンドでレシーブするし、スパイクのパワーも違う。全部のレベルが全然違いました」