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「デカいだけじゃダメ」春高バレー3連覇を狙う駿台学園・川野琢磨(身長197cm)“異例の挑戦”とは?「石川祐希、高橋藍のように…将来は日本代表で」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph bySankei Shimbun
posted2025/01/05 17:00
今大会注目選手の一人として期待される駿台学園高校・川野琢磨(3年)。春高バレー3連覇なるか
春高の東京予選が行われる2日前の、2024年11月22日にSVリーグの東京グレートベアーズは今大会終了後に強化育成選手として川野が入団することを発表した。高校生や大学生を対象に、トップアスリートとしての成長を促すことを目的とした東京グレートベアーズ独自の制度で、同様に大阪ブルテオンの前身、パナソニックパンサーズに当時高校生だった牧大晃(現・筑波大3年)が加入した例もある。
梅川監督も「可能性がある選手はできるだけ早く、高いレベルを体験したほうがいい」と考える推進派。そのため昨年から同じ東京のグレートベアーズの誘いを受け練習生として参加した。
実は高校卒業後にSVリーグで挑戦しないか、とグレートベアーズを含む数チームから誘いを受けていたが、川野は早稲田大への進学を希望。大学側の協力も得て入学までの期間にグレートベアーズの練習や試合に同行することになった。異例の挑戦ではあるが、大学入学後もオフシーズンなど可能な限り「上のレベルを体感したい」と目を輝かせる。
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川野はすでに実際に練習参加を経て、多くの刺激をもらったと語る。
「サーブレシーブやブロック、一つ一つプレーはもちろんですけど、リベロの古賀(太一郎)さんが練習の時からずっとプレー中はコート内で声を出して指示を出し続けていて。毎回必ず当たり前にやり続けているのがすごいな、って。学ぶことがいっぱいありました」
経験をチームに還元する川野
意識の変化は、駿台学園に戻ってからの練習や試合でも活かされた。
苦手意識が先行したサーブレシーブは「無理に返そうとするのではなく、まずは失点しないことを意識してとにかく上げる」ことを心がけるうちに、少しずつ感覚を掴んだ。体幹や下半身を特に重視したトレーニングでは、ジャンプ力だけでなく、守備面の向上を感じられるようになったことに加え、点を取るスパイクのバリエーションも増えた。
「去年(高2)まではブロックを抜いて、コースに決める意識が強かったんですけど、今は(ブロックに)当てて飛ばすボールも増えた。ディフェンスでも足腰の踏ん張りがきくようになって、低い姿勢からも速く移動できるようになったので、新チームが始まった時と比べたら、バタバタしなくなった。今の自分がどれだけSVリーグで通用するか試してみたい、と思う気持ちも前より強くなりました」