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箱根駅伝「3強の一角」だった国学院大“5分25秒差”大誤算のワケ…「急遽、配置を変えて…突貫でしたね」往路優勝・青学大との“勝負を分けた差”
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph byNanae Suzuki
posted2025/01/03 06:11
3強の一角と目されながらトップと5分25秒差の6位に終わった国学院大の前田康弘監督。大誤算のウラには予期せぬトラブルが…?
本来であれば、前回1年生にして区間4位と好走した辻原輝(2年)が適役だが、4区に起用されたのは、今季エース級の活躍を見せている青木瑠郁(3年)だった。青木は当初のプランでは9区予定だったが、4区に青学大の太田蒼生(4年)が来ると踏んで、前田監督は太田に青木をぶつける選択をとった。
「(前回4区の)辻原も調子は上がってきているんですけど、1回練習を外したのでちょっと怖いなと思って。太田君が来るなら瑠郁で互角の勝負をさせて、傷を最小限に留めるという作戦に出ました」
前田監督の読み通り、青学大の4区には当日変更で太田が起用された。この読みが当たったところまでは良かった。しかし、太田は、4区歴代2位(日本人最高記録)となる1時間00分24秒と想像を上回る走りを見せた。
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青木も区間2位と決して悪い走りだったわけではない。記録も1時間1分09秒と歴代8位だったのだから。“互角の勝負”で踏みとどまるはずが、両チームのタイム差が1分38秒にまで開いてしまったことは、指揮官の想定外だった。ただ、こればかりは太田を褒めるしかないだろう。
「タイム差が小さかったら、瑠郁はもっと良い展開で行けたかなと思う。太田君ともっとトントンで戦ってほしかった」
前田監督がこう話すように、後手に回る展開になったことも想定外の大きな要因になった。
状態が上がらなかった「大エース」平林
実は、2区に起用された平林清澄(4年)の調子が上がっていなかったという。
「宮古島合宿が終わって、12月頭ぐらいから状態が良くなかったんですよ。ポイント練習(強度の高い練習)を見ていても、彼だけがゼイゼイ言っていましたから。相当プレッシャーを感じていたんだと思います」
平林は前回も2区を走り、1時間6分26秒の区間3位と快走し、1区で出遅れたチームのピンチを救う活躍だった。
今回も記録だけを見れば1時間6分38秒と、前回の12秒遅れに過ぎない。だが、前回より気象等の条件がよかっただけに、ライバル校のエースたちは平林を大きく上回る走りを見せた。