甲子園の風BACK NUMBER
「それぞれの世界にプロがいるんだな」“大阪桐蔭で春夏連覇→5大商社の営業マンに転身”24歳の未来図「今はもう、野球をやろうとは思わないです」
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph byAFLO
posted2024/12/31 11:04
いまは「営業マンのプロ」になるべく研鑽を積んでいる元・大阪桐蔭“最強世代”の青地斗舞。野球とは少し畑違いのビジネス分野での四苦八苦を聞いた
野球だけでなく…「業界それぞれの“プロ”がいる」
甲子園で春夏連覇を果たして、複数の同級生がプロ野球選手として羽ばたいていった。高校時代は普通の高校生とは違う、どこか特別な世界にいた。そんな自分が野球とはまったくかけ離れたビジネス界に身を置く。野球界と一般社会。ただ、そのギャップを青地はまったく感じなかったという。
「社会人としてこの業界に入った時から、その業界それぞれの“プロ”がいるという認識はずっと持っていました。入社してからは、どの世界でもライバルが多い中で、1番にならないとお金にならないということを意識するようになって、より自分の仕事に誇りを持てるようになりました。
僕は野球を極めることができないまま現役を引退してしまいました。だからこそ、プロへ進んだ4人へのリスペクトは強いです。野球は今でも好きですが、プロ野球は結果を残せなかったら給料をもらえなくなる。4人はそんな厳しい世界で勝負している。自分も負けられないなと思います」
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千葉県に居住する今は、ロッテ所属の藤原とは頻繁に連絡を取り合っているという。
「シーズン開幕後は藤原がケガをしてしばらく会うことはなかったんですけど、オフシーズンになった今は週に1~2回は会っています。共通ではまっているゲームもあるので、それも大きいですね(笑)」
野球を一緒にやってきた野手の中で、「藤原は最もすごい選手」だと青地は今でも思っている。そんな選手でもなかなか一軍に定着できず苦しむプロ野球という世界に対しては「衝撃の方が大きいです」と苦笑する。それでも藤原はいずれ球界の顔になれる選手だと信じ、一緒にやってきた1人のファンとして応援したいと強く思っている。
野球を離れて約2年。高校時代、甲子園で打席に立った時のアドレナリンや火がつくような緊張感はなかなか味わえなくなった。代わりに今は週末にしっかり休みを取れ、趣味の時間も増えた。