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「(田中)将大、初の挫折。あいつも人間でしたね」楽天OB山崎武司が巨人入団の後輩にエール「中日・松坂大輔と重なる」「今ならセの方が」
text by
間淳Jun Aida
photograph byJIJI PRESS
posted2024/12/30 06:05
巨人加入が決まった田中将大。楽天時代に同僚だった解説者・山崎武司から見た2025年の予想は?
「将大をひいきするわけではなくフラットに見て、今の将大は当時の松坂より力があります。ジャイアンツは将大に中5日で1年間ローテーションを守ってほしいとは思っていないはずです。登板数は少なくてもマウンドに立った時に力を発揮すれば、将大は白星を積み重ねるチャンスは十分です。ジャイアンツは打線の援護もありますから」
松坂氏は西武時代の剛腕からモデルチェンジし、38歳のシーズンで復活した。
山崎氏はDH制がなく、パ・リーグほど投手にパワーが求められないセ・リーグは「今の将大に向いている」と指摘する。
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「どちらかと言うと将大は安打を許しながらも要所を締めて得点を与えないタイプの投手です。セ・リーグは下位打線の打力がパ・リーグより落ちるので、打線全体を見て相手チームと勝負できます。低めのストライクゾーンに制球する投球ができれば、試合をつくる先発投手の役割を果たせると思っています」
巨人入団報告の電話…過去2回と全然トーンが
山崎氏が田中から3度目の電話を受けたのは、12月24日だった。「巨人に入団が決まりました」。その声は、それまでの2度の電話とトーンが全然違ったという。
「声のトーンから安心感が伝わってきました。今季はけがから明けて何もできずに終わりました。まだ自分はできるのか、もう終わりなのかを試すチャンスがほしくてモヤモヤしていたと思います。右肘が治っているのに打者を抑えられなかったらあきらめがつきます。結果を残せば、まだまだできると自信を取り戻せます。全ては来季、伸るか反るかの勝負になると将大も当然分かっています」
初めての挫折…あいつも人間でしたね
田中は崖っぷちから再び輝きを取り戻せるのか。「もう終わった選手」と揶揄されてから楽天で7年、さらに中日で2年と44歳まで現役を続けた山崎氏は自身の経験を踏まえて、こう話した。
「自分が復活できたのは失うものがなかったから。将大も状況は似ていると思います。ダメなら引退すると腹をくくれると意外と体が動くし、人の話にも素直に耳を傾けられるようになります。将大も1年、2年と言わずプレーしてほしい。楽天で一緒だった頃は私を超えるくらいまで現役を続けたいと言っていましたから。まだ8年、9年足りないぞと伝えたいですね」