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「またイーグルスは…だよね」巨人入団前の田中将大と電話で3回会話…山崎武司が“楽天と一部報道”を一刀両断「私に嘘をつくとは思えないので」
posted2024/12/30 06:04
text by
間淳Jun Aida
photograph by
Hideki Sugiyama
稼頭央、嶋、将大…ファンも選手も不信感が
痛いほど気持ちが分かる。かわいい後輩の姿が、かつての自分と重なる。田中将大投手の巨人入団会見が行われた12月25日、ともに楽天でプレーした野球評論家の山崎武司氏は言葉を選ぶように話し始めた。
「将大が希望していた現役続行の道が開かれて良かった。本人も不安な日々を過ごしていたはずだから、ホッとしたと思います。ただ、またイーグルスは……という感じだよね。稼頭央(松井稼頭央氏)、嶋(嶋基宏氏)、将大まで。こういう形でチームの功労者が去っていくと、ファンも選手も球団への不信感が大きくなってしまいますよね」
楽天の中心選手が花道を用意されて引退するケースは皆無に等しい。それどころか、後味の良くない別れ方が目立つ。山崎氏が名前を挙げた松井稼頭央氏は2010年オフにメジャーから日本球界へ復帰。楽天では7年間プレーし、主将を務めるなど精神的な支柱となっていた。しかし、キャリアの最後は古巣・西武で1年間プレーし、引退後はコーチや監督に就いた。
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嶋基宏氏は楽天創設初期からの生え抜きで、選手会長も務めた。東日本大震災直後のスピーチに象徴されるようにグラウンド外でも存在感を見せ、まさに楽天を象徴する選手の1人だった。誰もが楽天で現役を終え、そのまま指導者としてチームに残ると疑わなかった。
だが、2019年オフに球団から減額制限を超える条件提示を受けて自由契約を申し入れ、ヤクルトに入団した。引退後はヤクルトで指導者の道を歩んでいる。
山崎も楽天で引退するつもりだったが
山崎氏も楽天で選手生活を終え、指導者としてチームやファンに恩返しするつもりでいた。一度は現役引退を覚悟した2005年、オリックスから楽天に加入して復活を遂げた。2007年に本塁打と打点の2冠に輝くなど、楽天に所属した7年間で191本塁打を記録。仙台や東北への愛着も強かった。
「イーグルスで引退するつもりでした。イーグルスで指導者としてキャリアをスタートしたい思いがありましたし、周りからも『引退しても残ってくれるんでしょ』と言われていました。ただ、多くの人が予想や希望した通りにいかないのがイーグルス。誰も嶋や将大が他球団に行くなんて想像していなかったでしょうから」
どんなに実績のある選手も、いずれは力が落ちて戦力になれない時が来る。球団運営は功労者という理由だけで高額な年俸を支払うわけにはいかない。それを理解した上で、山崎氏は楽天に苦言を呈する。