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「お前らまだわけーのに、何言ってんだよ」後輩の“代表引退発言”に怒りのツッコミ? 37歳深津旭弘が“ボロボロになるまで頑張る”理由 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph bySV.LEAGUE

posted2024/12/28 11:04

「お前らまだわけーのに、何言ってんだよ」後輩の“代表引退発言”に怒りのツッコミ? 37歳深津旭弘が“ボロボロになるまで頑張る”理由<Number Web> photograph by SV.LEAGUE

SVリーグで存在感を発揮する東京グレートベアーズ。チーム最年長の深津旭弘はコート内外でチームを盛り上げている

 今年日本代表Bチームで主将を務めた29歳のセッター大宅真樹(サントリーサンバーズ大阪)が、パリ五輪のあとこう語っていた。

「パリ五輪で僕に一番影響を与えてくれたのは深津旭弘さん。深津さんがあの年齢でオリンピアンになられたことで、僕としても目標の幅が広がる。次のロスを目指そうと、少しでも思えるきっかけを作ってくれました」

 希望を与えられたのは大宅だけではないはずだ。しかも深津はずっと代表に名を連ねていたわけではない。

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 代表初選出は2010年で、ネーションズリーグの前身のワールドリーグに出場したことはあったが定着はできなかった。だが2022年にBチームに選出され、昨年はAチームでネーションズリーグに出場。その後、再びBチームに移ったが、若手選手たちと汗を流し、アジア大会で銅メダルを獲得。今年パリ五輪出場を果たした。

「もう代表は無理かな」と諦めかけていた選手たちも「オレも!」と勇気をもらったに違いない。

「たぶん“できる”と思ったら、できるんですよ」と深津は言う。

「例えば大宅だったら、石川(祐希)と同じ世代だから今29歳で、次(の五輪)が33歳、その次も37歳で、僕が出た歳ですから、まだあと2回ぐらい目指せる。別に誰が目指してもいいじゃないですか。うちの今橋(祐希)だってそうだし、他のポジションでも。ベテランでも『まだチャンスあんの?』みたいに思ってくれたら。誰でも、まだ伸びるところはいっぱいあると思うから」

弟・英臣の移籍も後押し

 3歳年下の弟・英臣(ウルフドッグス名古屋)も刺激を受けた1人だ。かつて日本代表で正セッターを務め、2017年には主将も任されたが、その後代表から遠ざかっている。今年、長年所属したパナソニックパンサーズ(今季から大阪ブルテオン)を退団し、ウルフドッグス名古屋に移籍した。

 移籍にあたっては旭弘も相談を受け、背中を押したという。

「はじめは『え、マジ?パナ辞めんの?』と驚きましたけど、でもいいチャンスなのかなと。もうパナではやり切ってんじゃないかなと思ったから。何回も日本一になったし、毎回優勝争いしてるし、やることは全部やったじゃないですか彼は。だから(移籍は)またうまくなるいいきっかけになるんじゃないかなと思った。最後は『移籍いいじゃん。早く決めろよ』と言っていました(笑)。

『子供はどうなん?』と聞くから、『子供なんて余裕だって!』って(笑)。もちろん家族がいて子供も大きいから、そこはネックだと思うけど、『そんなのなんとでもなるわ。こっちはもう2回(移籍)してるぞ』って(笑)」

 旭弘は33歳の時、JTサンダーズ(現・広島サンダーズ)から引退して社業に進むことを打診された。その時、引退を受け入れていたら今の姿はない。そこで現役続行を選び、堺ブレイザーズ(現・日本製鉄堺ブレイザーズ)に移籍。それが大きな転機となった。2年後、東京グレートベアーズに移籍し、代表でも道がひらけていった。

【次ページ】 重要なのは「体」よりも「思考」

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