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「チャンスの方から追いかけてくる男」牧秀悟のベネズエラ戦“衝撃の満塁弾”は予言されていた…井端弘和監督は「絶対牧に回ってくる」「狙い通り」
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2024/11/23 17:04
プレミア12ベネズエラ戦、一度は逆転を許して重かった雰囲気を牧秀悟がすべて振り払った
「強化試合の時から『ここで絶対回ってくるから』というところを伝えてそこに置いているので、狙い通りです。今日は最高のところでホームランを打ってくれた」
会心の展開となり、普段はポーカーフェイスの指揮官もグランドスラムの瞬間には思わず雄叫びを上げていた。
チャンスの方から追いかけてくる男
牧自身も、「チャンスの方から追いかけてくる」という謎のポジティブ現象を自覚している。
「上位打線のメンバーで得点できますけど、さらにチャンスを作って自分にも回してくれている。何かどんな打順にいてもチャンスで回ってくるんで、なんとかしないといけないなと思って打席に向かっていますね」
これまでの国際大会でも、「侍ジャパン」にはここぞという場面で打席が回り劇的な一打を放つ数々のバッターがいた。WBC2009年大会のイチロー(当時マリナーズ)や、同23年大会の村上宗隆(ヤクルト)らは象徴的な存在だが、その多くは日の丸を背負う主力選手としての重圧と戦っていることを強く感じさせた。
大勢からかけられた言葉
だが、そんなプレッシャーとは縁遠い軽やかさを持つのが牧の魅力だ。今大会もファーストラウンドのキューバ戦から9打席連続でヒットは出ていなかったが、そこで下を向くような選手ではない。WBCの歓喜を知るメンバーでもあり、代表歴の浅い選手が多いチームを常に明るく盛り上げてきた。
劇的なグランドスラムが出る直前には、投球練習のためにブルペンへ向かうクローザーの大勢(巨人)に声をかけられていたという。