4回に先発の高橋が1死からフォアボールを許すとすかさずマウンドに走った。

「フォアボールが一番流れが変わりやすいと思っている。正直、短打を打たれても、あまり気にすることじゃない。それよりフォアボールを出して、次に（ストライクを）とりにいった球は外国人に一番危ない。それだったら打たれた方がスッキリしますから。あの場面もとにかく（走者を四球で）溜めないように。単打でつながれるのはオーケーだから、ゾーン内で頑張ろうという話をしました」

　代表チームに選ばれてくる投手は力がある。ストライクゾーンで勝負できる投手ばかりなので、そういう投手の力を信じて引っ張ることも大事だ。

「ピッチャーを信じて真っ直ぐをしっかり投げ切ってもらおう、そういうプランを持って勝負できるところは勝負できた」

　先発の高橋から隅田、そして北山亘基投手、藤平尚真投手、最後の横山陸人投手まで。普段は受けたことのない投手たちが次々と入れ替わる中で、しっかりと信頼関係を築いて一人一人の特長を活かしながら引っ張っていかなければならない。

　そこが侍ジャパンでマスクを被る一番の難しさでもある。

「国際試合ではもちろんリード、投手陣を引っ張っていってくれる力というのが大事ですけど、そこにバッティングがある坂倉みたいなキャッチャーは貴重なんです」

　井端監督は語る。

将来の司令塔候補の一番手

　世代交代が進む侍ジャパン。2年後のワールド・ベースボール・クラシックはともかく、4年後にはロサンゼルス五輪もある。そこをにらめば長年、代表チームで主戦捕手としてマスクを被り続けてきたソフトバンク・甲斐拓也捕手の後継者作りは、今から着手しておかなければならない大きな課題の一つだ。

　今回はケガで招集が見送りとなったDeNAの山本祐大捕手と共に、この坂倉の存在が将来の日本の司令塔候補として1番手にいることは間違いない。

　そう考えると――。

　残り3試合。決勝までの、連覇までの坂倉が積み上げていく経験は「長く日本の野球が世界のトップあり続けるために」（井端監督）不可欠なものとなるはずである。