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「W杯に出られなかった経験を…」“日本代表から消えたFW”がドイツで5ゴール、町野修斗が語る“企業秘密”の強み「日本のために蹴れるなら」
posted2024/11/08 11:04
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Adam Pretty-FIFA/Getty Images
カタールW杯未出場…今も変わらない思い
2022年、12月のカタールの乾いた空の下で感じていたことが町野修斗にはある。
「あの経験があったからこそ、海外でプレーしなければいけないと感じるようになりました。僕は試合に出ていないですけど、日本サッカーの可能性も日本代表は示したので。結果は残念でしたけど、今後、さらに結果を出すことによって、(あのような経験をしたことが)良かったと言えるようにしたいですね」
カタールW杯の日本代表において、フィールドプレーヤーで出場機会のなかった選手は柴崎岳と町野の2人だけ。歴史をひもといても、W杯で同じ境遇を経験した選手のその後は、2つに分けられる。
1つは、日本代表に呼ばれなくなってしまうケース。もう1つが、悔しい経験を糧に成長し、日本代表に大きなものをもたらすケースだ。ドイツW杯後の遠藤保仁や、ロシアW杯後の遠藤航のように。なお、その遠藤航は、湘南ベルマーレの後輩である町野に、カタールW杯の合宿中に海外挑戦の必要性を何度も説いていたという。
町野は言う。
「もう1回、もう2回、出られるなら何回でも出たいです。ただ、出られなかった経験を活かすには、やっぱり次のW杯までに活躍してメンバーに入らないとできないので。すべては、今後次第ですね」
当時は聞かれなかったため、語っていなかったことが町野にはある。
クロアチア戦の後半から延長戦にかけてのことだ。
町野はウォーミングアップを命じられ、来るかもしれない出番にむけて用意をしていた。最終的に声はかからなかったが、アップのペースを上げながら、こう考えていた。
「残り時間も少なかったから、あそこで出るならPK戦にもつれこむ確率も結構高いなと感じていて。だから、蹴るための準備もしないといけないと」
キール加入早々からPKキッカーを任されていた
たかが、PK。されどPKである。
日本はW杯で経験した2度のPK戦ではいずれも勝てなかった。一方で町野が日本代表に加わる日が再び来れば、重要ピースとなりうる。今シーズンのブンデスリーガで得点ランキング上位につけている話は第3回に譲るとして、彼は“PKでも”頼りになる選手だからだ。
ホルシュタイン・キールに加入して2年目となる今シーズン、町野はチームのPKキッカーを務めている。9月29日、フランクフルト戦のPKもしっかり決めた。キッカーを任されているのは、試合はもちろん練習でもPKを決め続けてきたからだ。