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「ポトッ…と黒い水が」男子バレー山内晶大(30歳)“代表引退”発言の真意を語る「まずは絶対優勝」204cm長身ブロッカーが探す違和感の正体
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/10/31 11:05
SVリーグ初代王者を目指す大阪ブルテオンで主将を務める山内晶大(30歳)。気持ち新たにシーズンをスタートさせた
あの時の“違和感”を、最悪の形で突き付けられたのが8月5日、準々決勝のイタリア戦だった。
「勝てるだろ、これ、行けるでしょ」
最初の2セットを完璧な形で連取し、第3セットも24対21、日本が3点のリードを得た。山内は後衛に下がっていたためベンチにいた。いつもならば、どんな状況でもまた自分が前衛に回るかもしれないとベンチに座って汗を拭い、身体を休めることに努めるが、その時ばかりは眼前に迫る勝利を確信し、気が急いた。
勝利の喜びを共に味わおうと、リザーブエリアで準備していた選手のもとへ駆け寄り、肩を組み、その瞬間を待つ。だが、難なく取れると信じた1点が遠い。
あれ?
24対21から1点、また1点とイタリアが得点を返す。24対23になったところで再びベンチに戻った。そしてシモーネ・ジャネッリのサービスエースで24対24。同点に追いつかれた時に抱いた違和感を、山内は独特の表現を交えて回想した。
「透明な水の中に、黒い水がポトッと…」
「透明な水の中に、ポトッと1滴、黒い水が入る感じ。全体を見ればまだ透明なんですけど、あれ、今なんか黒いの入ったよな? って。明らかにそれまでとは違う感触があった。でもその時は『いや大丈夫、あと1セット取ればいいんだ』と思っていたし、実際にやるべきこともできていたと思うんですけど、今思い返すとやっぱり3セット目までとは違った。決まっていたコースに決められなくなって、相手が上回ってきた。最初は透明な中に1滴、ポトッと落ちて来た黒い水がどんどん増えて、ポトポト、ボトボト、って入り続けて、最後は真っ黒になる。だから、負けた。僕の中ではそういう印象でした」
違和感の正体は何か。今考えても答えにはたどり着けない。