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「オオタニ、アイラブユー」ラックスもテオスカーも大谷翔平を…ドジャース戦友との“幸せな関係”「ショウヘイはバトルして…何とかしたかった」
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byHarry How/Getty Images
posted2024/10/29 18:50
大谷翔平のホームランを喜ぶテオスカー・ヘルナンデス。強力ドジャース打線で勝負強さを見せる
ドミニカ共和国出身の陽気な背番号37が、チャーミングな笑顔とともにヒマワリの種を撒く姿はおなじみとなった(テオスカー自身の本塁打、もしくはワールドシリーズ第3戦のフリーマンの本塁打のように、テオスカーに打席が回ってくる場合はベッツが担当するが)。
エンゼルス時代の大谷がホームランを打つたびに、あの日本兜をかぶっていたり、レッドソックス吉田正尚がビニール製のダンベルを手にするように――ベンチ内でセレブレーションをする球団が増えている。しかし今季からテオスカーが加わったドジャースにはその文化がなく、ブルージェイズ移籍1年目の2017年に用いていたセレブレーションを、ロサンゼルスにて復活させた。
2011年のドラフトでアストロズと契約したテオスカーは、5年のマイナー生活を経て2016年にメジャーデビュー。その前年の2015年に行われたプレミア12(大谷も侍ジャパンの一員として出場していた)に、ドミニカ共和国代表の一員としてプレーしている。
メジャー昇格後、才能が花開いたのは青木宣親とともに移籍したブルージェイズでのこと。逆方向に飛ばすパワーで5シーズンで129本塁打を放ち、2023年にマリナーズ、今年はドジャースと強打で勝負強い右打者を求めるチームで仕事人ぶりを発揮している。
“オオタニの野球IQ”に感心した日とは
そんなテオスカーが大谷の“野球IQ”に感心した日がある。
6月18日、敵地コロラドに乗り込んだロッキーズ戦でのこと。
9回表開始時点でスコアは4-9と、ドジャースは大量リードを許していた。しかしここからドジャース打線が爆発。7点を奪って劇的な逆転勝ちを収めた。試合を決めたのはテオスカーの勝ち越し3ラン本塁打だったが、殊勲者が称えたのは8-9の1点ビハインドの1死走者なしの場面で回ってきた大谷の状況判断だった。
「彼は出塁するためにバトルし、後ろへと繋げた。だからなんとかしたかった」
こう笹田幸嗣記者に語った通り、大谷は逆方向に逆らわずシングルヒットを放ち、逆転劇につなげたのだった。
テオスカーはワールドシリーズでも第2戦でフリーマンとともに2者連続ホームランを放ち、第3戦では正確な送球で二塁走者スタントンを本塁でアウトにするなど、存在感を見せている。そんな頼れる長距離砲はストーブリーグでも注目の的となること必至だ。
その理由はドジャースと結んだ契約が「単年」だったから。32歳という年齢やヤンキースのフアン・ソトなど今オフのFA目玉選手を見据えてのものだったと報じられているが……抜群の勝負強さを見せたテオスカーは来季もドジャーブルーに身を包むのか、それとも“世界一”を置き土産にドライな別れの時がくるのか――。
〈大谷翔平とドジャース特集:つづく〉