〈激動のオフ〉5球団で監督交代のプロ野球「コーチのなり手がいない…」深刻事情に見る“セカンドキャリア”のリアルと「求められる指導者像」

　プロ野球の暦では春ではなく、秋が「別れと出会いの季節」です。選手にとっては現役引退や戦力外通告があり、一方でドラフト会議では新しい選手たちがプロ野球の指名を受ける。監督やコーチの退任や就任があり、チームの形が大きく変わっていくのもこの時期です。今回は、現在発表されているだけでセ・リーグの2球団、パ・リーグの3球団で監督交代がありました。

今江監督の交代劇

　最も驚いたのは楽天・今江敏晃監督の交代劇です。今シーズン楽天は結果としては4位でしたが、チームがいい方向に向く兆しが見えていましたし、この先に繋がる野球ができていると感じていました。昨シーズンまで戦力的にベテランに頼らなければいけないチーム状況でしたが、若いピッチャーが柱となり打線もある程度繋がるようになってきた。それも、今江監督だからこそできた部分が大きかったでしょう。

最終戦のセレモニーで挨拶する今江監督　©︎JIJI PRESS

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　わずか1年での監督交代はとても寂しいですし、せっかくいい方向に向かっている流れを変える必要があるのかという思いもあります。もちろん、外部にはわからないチーム事情もあるでしょうから首を突っ込んで言うことではないのですが、あらためて厳しい世界だと感じました。

“俯瞰”で見ていた中嶋監督

　昨年までパ・リーグ3連覇を果たしたオリックス・中嶋聡監督の辞任にも驚きました。今シーズンは5位に終わりましたが、怪我人が続出した不運な状況もありましたしこの1年の結果だけで辞めるというのは本当に残念。ただ、報道によると最後の記者会見では「何か足りないとなったとき、新しいことを始めるときには新しい人が始めるべき」と理由を話したと聞いて、中嶋さんらしい決断だなとも感じました。

球団からの強い慰留を断り辞任した中嶋監督　©︎Nanae Suzuki

　監督という仕事を続けながらチームを良くすることもできるけれど、自分だからできないこともあるんじゃないか、という決断。監督は常にチームを客観的に見定める仕事だと思いますが、中嶋さんはそこからさらに俯瞰して、自分をも含めたチームを見て考えているんだな、と感心します。そういう意味では本当にチームの未来を考えての決断、ということなのでしょう。

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