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大坂なおみ“巨大リボン”だけじゃない? 女子選手ド派手テニス・ファッションの変遷をたどる…韓国では「BTSも大好き」で空前のテニスブーム
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byGetty Images
posted2024/10/18 17:01
全米オープンで大坂なおみが着用したリボンウェアの「ゴスロリ」バージョン。シューズのかかとにもリボンが…!
しかし、初出場から5連覇を果たすランランの圧倒的な強さは、競技優先主義を広め、スカートの丈はどんどん短くなっていった。シルエットや素材が機能的に変化していくと同時に、ファッションにもこだわり続けたのは、テニスが初めから他人に「見られる」こと、「見せる」ことを意識した富裕層の娯楽だったからではないか。誰かが常識を覆すたびに反発を受けたり議論を巻き起こしたりしたが、古い価値観に抗おうとする姿そのものも、女性の解放や社会進出といった時代の空気をリードしてきた。
現代も、世界を転戦するプレーヤーたちのファッションは女子テニスの重要な一部だ。ウィンブルドンこそ、試合中に身に着けるものは全て白を基調とする独自の伝統的ルールがあるが、それ以外の大会では基本的に何を着てもいい。
セリーナ、そして大坂なおみ
中でも、1972年に最初にカラーウェアの着用を許した全米オープンは、ショービジネスの本場ニューヨークが舞台だけあって、派手で斬新なウェアが目立つ。元女王セリーナ・ウィリアムズは奇抜な全米オープン・コレクションを繰り広げてきた代表選手の一人だ。デニムのスカートとブーツの組み合わせもあったし、黒いシースルーもワンショルダー風のデザインもあった。
そして、それらも霞むほどのインパクトを与えたのが、この夏の大坂なおみだった。およそスポーツシーンにふさわしくない巨大なリボンを背中に付けたジャケットと、レースをたっぷりあしらったバレエのチュチュのようなスカート。入場時の必須アイテムであるヘッドフォンにもレースとリボン、シューズにもリボンが付いていた。白とライトグリーンの眩ゆいツートーンでの登場に、人々は呆気にとられた。ベンチまで歩を進めると、腰に巻き付けていたチュチュを取り外してバッグにおさめ、試合前のアップが終わるとジャケットも脱いだが、それでも背中には小ぶりのリボンが存在感をアピールしていた。