酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
長嶋茂雄は「記憶に残る」だけでなく“王貞治やイチロー、落合博満に大谷翔平級”の成績…六大学HRにプロ野球通算記録を山ほど更新してた件
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byTomohiko Hayashi
posted2024/10/14 11:28
昭和のスーパースター長嶋茂雄。記憶に残る男の凄まじい記録の数々とは
2年生の秋に頭角を現し、フィリピンのマニラで行われたアジア野球選手権大会に六大学野球代表として出場。4番でホームランを打っている。以後、東京六大学最大のスター選手になっていく。
長嶋が入団時、東京六大学の通算本塁打数は、宮武三郎(慶大)と呉明捷(早大)の7本だったが、4年秋のシーズン最終戦でこれを抜く8本目の本塁打を打つ。
これでもわかるように、当時の長嶋茂雄は「記録男」だったのだ。
長嶋茂雄のプロ入り前の歴代記録とは
〈巨人入団当時のプロ野球〉
今では大学野球はプロ野球への登竜門になっているが、長嶋の時代までは「東京六大学とプロ野球では、どちらが強いか」みたいな議論が真剣に行われていた。
長嶋の巨人入団は「日本野球の一方の雄、東京六大学のトップ選手が、プロ野球に移籍する」と見なされた。当時春季キャンプが行われていた兵庫県立明石球場には、かつてないほどのファンが詰めかけた。
長嶋が巨人に入団した1958年、プロ野球は草創から23年目だった。1957年オフ時点での歴代記録はどうなっていたか?各記録の5傑。所属がある選手は当時の現役在籍。
・通算安打数
川上哲治(巨人)2244安打
青田昇(大洋)1722安打
藤村富美男1691安打
西沢道夫(中日)1614安打
千葉茂1606安打
・通算本塁打数
青田昇(大洋)255本
藤村富美男224本
小鶴誠(広島)222本
西沢道夫(中日)210本
大下弘(西鉄)197本
・通算打点
川上哲治(巨人)1253打点
藤村富美男1125打点
青田昇(大洋)987打点
小鶴誠(広島)897打点
西沢道夫(中日)896打点
・通算打率(3000打数以上)
川上哲治(巨人).318(7065打2244安)
大下弘(西鉄).306(5047打1546安)
別当薫(毎日).302(3191打965安)
藤村富美男.301(5622打1691安)
飯田徳治(国鉄).294(5277打1554安)
打率を除いてすべての数字を塗り替えた
ここで名前が出た全員が野球殿堂入りを果たしている。プロ入り後、長嶋茂雄の生涯成績は以下の通り。