酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
長嶋茂雄は「記憶に残る」だけでなく“王貞治やイチロー、落合博満に大谷翔平級”の成績…六大学HRにプロ野球通算記録を山ほど更新してた件
posted2024/10/14 11:28
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Tomohiko Hayashi
巨人軍は永久に不滅です…から50年
今年は「巨人軍は永久に不滅です」と言い残して長嶋茂雄が引退してから50年になる。筆者は高校生だったが、平日の夕方にもかかわらず中継していたテレビで、後楽園球場を涙にくれながら一周する長嶋を見た記憶がある。
野球が理解できる年齢を仮に10歳からとすると、長嶋茂雄の現役時代を知る人は、還暦以上になっている。ミスターと呼ばれた不世出の大選手と同時代を生きた人は、もう少数派になっている。
それもあってか「長嶋茂雄は『記録』よりも『記憶』に残る人」という言説が世に流布している。筆者はこれにかなり抵抗感がある。王貞治や落合博満、イチロー、大谷翔平など長嶋の後から登場したスーパースターと比較して長嶋茂雄を「記録より記憶」というのは、あと付けにすぎない。
同時代に生きた野球ファンにとっては、長嶋茂雄は十分に「記録に残る人」だったのだ。そのことを縷々紹介していきたい。
六大学時代から「記録男」だった
〈大学時代の長嶋茂雄〉
千葉県有数の進学校である佐倉一高時代の長嶋は、甲子園に出場することもなく無名の存在だったが、3年生の南関東大会で、バックスクリーン越えのホームランを打って注目された長嶋は、セレクションを経て立教大学に入学すると、1年生から公式戦に出場した。
以下は長嶋の東京六大学時代の成績。カッコ内は打率のリーグ順位。
〈1年〉
春:11試17打3安0本2点0盗 率.176
秋:11試19打3安0本0点0盗 率.158
〈2年〉
春:11試47打8安0本1点0盗 率.170(25)
秋:11試35打12安1本12点0盗 率.343(3)
〈3年〉
春:14試48打22安2本7点4盗 率.458(1)
秋:15試59打17安3本8点7盗 率.288(7)
〈4年〉
春:12試40打9安1本4点6盗 率.225(22)
秋:11試39打13安1本4点5盗 率.333(1)