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「このベルトを大きくしてほしいんですよ」“IWGP女子王者”岩谷麻優の焦燥…トラウマ克服で7度目防衛も「1年後も2年後も、4年後も変わらないかも」
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2024/10/10 17:04
AEWからの刺客トニー・ストームを倒し、7年前の「トラウマ」を払拭したIWGP女子王者の岩谷麻優。10月5日、愛知県体育館
“IWGP”への複雑な思い「大きくしてほしいなあ…」
そんな岩谷に、8月の『5★STAR GP』開幕前「すごく怖い顔をした岩谷麻優を見た。怖すぎて声もかけられなかった」という話をすると、こんな答えが返ってきた。
「無意識でしょうけど、今年の『5★STAR』にかけた思いだったかも。コンディション良すぎて、今年取れなかったら、いつ取れるんだろうくらい。『5★STAR』は今年が最後という思いで臨んだんです。取れなかったですけど……」
IWGPというベルトに対する意識は変わってきたのだろうか。
「IWGPらしいっていうのがあまりよくわからなくて、それは自分がIWGPの歴史を知らないから。重さは感じるんだけれど、どれがIWGPなんだろう、って。今、もし自分が赤いベルトを巻いていたとしたら……変わらないかもしれないですね。戦いたい相手はいっぱいいる。回数を重ねるだけの防衛戦にはしたくない」
岩谷はストームを高角度後方回転エビ固め(フブキ・ラナ)で押さえ込んで7度目の防衛に成功した。
「今日の勝ちもたまたまだったのかもしれない。本当にまぐれかもしれない。ただ、世界に見せつける戦いはできたと思っている。ベルトにかける思いや覚悟で、ギリギリ勝つことができた。日本の女子プロレスがこんなに凄いというのを見せつけられた。IWGPを世界の人たちに見せられたと思う。いつ何時、誰の挑戦でも受ける。その信念をモットーに、自分らしさも忘れずに、このベルトと岩谷麻優の戦いをしていく。岩谷麻優から目を離させないようにするから」
トニー・ストームとの戦いは続編があるのかもしれない。岩谷はIWGP女子のベルトを見つめた。
「でもね。やっぱり、このベルトを大きくしてほしいんですよ。今は小さいから首に巻いている。大きくしてほしいなあ。そう言っても、1年後も2年後も、4年後も変わらないかもしれない。自分がチャンピオンじゃなくなっても、変わらないかもしれない。でも、私は大きくしてほしいです」