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武豊55歳はなぜ“衰えない”のか?「馬群からスタンド前の会話を視認」実際にあった超人エピソード…米調教師も驚愕「正確すぎる体内時計」
posted2024/09/28 11:07
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Naoya Sanuki
武豊55歳「衰え知らず」の要因を考える
武豊は9月1日に閉幕した今年の札幌競馬で17勝を挙げ、開催リーディングジョッキーとなった。函館での勝ち鞍を合わせると北海道開催は29勝。デビュー38年目にして初めて札幌、及び北海道リーディングを獲得した。
8月に国内外のトップジョッキーが集まって開催されたワールドオールスタージョッキーズでは、ジョアン・モレイラに次ぐ2位にランクイン。さらに、9月19日に園田で行われた、通算2000勝以上の騎手による第31回ゴールデンジョッキーカップを、レース前「アレンパできるよう頑張ります」と公約したとおり、昨年につづいて優勝。ジョークの切れも、華やかなイベントでの強さも相変わらずだ。
今年55歳になった。衰えが見られて不思議ではない年齢だが、その手綱さばきは冴えわたっている。
2月には自身の持つJRA重賞連続年勝利記録を「38」に伸ばし、5月には前人未到のJRA通算4500勝を達成。今年のJRAでの勝ち鞍は9月22日終了時で70勝と、2020年以来の100勝ペースだ。そして勝率は1割6分8厘と、1割台前半だった過去3年からこちらも「V字回復」しようとしている。
騎手は、極限付近の筋力や瞬発力を競うわけではないので、ゴルファー同様、競技寿命が長い。史上初の無敗の三冠馬シンボリルドルフの主戦として知られる岡部幸雄氏は56歳まで、国民的アイドルだったハイセイコーの主戦だった増沢末夫氏は54歳まで現役をつづけた。
しかし、今の武は、岡部氏や増沢氏の騎手時代の晩年以上に成績もいいし、見た目も若い。イメージも年間200勝以上した30代のころからあまり変わらず、いまだに「ユタカ」と呼ぶファンや関係者も多い。
なぜ武は、こうも高いレベルでパフォーマンスを維持し、勝ちつづけることができるのか。
武が、ほかの誰よりもアンチエイジングを成功させている要因について、まずフィジカル面から見ていきたい。