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[全米待望のカード]ヤンキースvs.ドジャース あの名勝負をもう一度

posted2024/09/29 09:02

 
[全米待望のカード]ヤンキースvs.ドジャース あの名勝負をもう一度<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

WS中継のために岩佐さんが作成した手書きの資料にはみっちりと情報が書き込まれている

text by

生島淳

生島淳Jun Ikushima

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Yuki Suenaga

スマホやタブレットではなく、BSでもCSでもなく、地上波で、MLBを視聴できた時代があったのだ。しかも、ゴールデンタイムに! 当時の実況を担当した名アナウンサーに、古き良きあの頃を訊ねた。

 1978年のドジャース対ヤンキースのワールドシリーズは、私にとって「アメリカの窓」だった。このシリーズが日本の地上波で見られたのは、この年からフジテレビが週2回、「大リーグ中継」を始めたからだった。その実況を担当したのがアナウンサーの岩佐徹さんだった。

「'78年から'81年まで、ワールドシリーズを現地で実況しました。当時の日本人が大リーグと聞いて連想するのは、やっぱりヤンキースとドジャースでしたから、この2球団の対決となった時は胸が躍りました」

 岩佐さんの実況では、日本の中継では耳慣れない単語が飛び交った。「ウォーニング・トラック」(外野フェンス前のアンツーカー)「スタンダップ・ダブル」(滑り込む必要のない余裕の二塁打)。小学校5年生だった私にとっては新鮮で、いつかアメリカで野球が見られたらいいな、と淡い夢を抱くようになった。

 '78年春、基本日曜の昼と月曜の夜の2枠で放送が始まった大リーグ中継には、様々な「経緯」が絡んでいた。

「あの時代のフジテレビが放映権を持っていたのは、ヤクルトと大洋(現・横浜DeNA)の主催試合だけで、夏場になると日本テレビの巨人戦中継にやられっぱなしでした。そこで、今でいうコンテンツはないかということで、大リーグに着目したわけです。当初、月曜日は1時間半しか枠がなく、放送内容は試合のダイジェスト。ところが、月曜9時のドラマで主演していた勝新太郎が、5月にアヘンとその吸煙器を処分するように頼んだ疑いで書類送検されます。ドラマは打ち切りになり、そのおかげで大リーグの枠が2時間に延びました(笑)」

こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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