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「サプライズとかあるとすれば…」引退発表したヤクルト青木宣親(42歳)が語っていた“引退試合のこと”「想像するだけで泣きそうです」
text by
青木宣親×尾崎世界観Norichika Aaoki & Sekaikan Ozaki
photograph byJIJI PRESS
posted2024/10/01 11:14
今季限りでの引退を発表したヤクルト青木宣親(42歳)。尾崎世界観との対話集『青木世界観』の中で“引退試合”について語っていた
自分の引退試合を想像したら、絶対にスピーチしている時に涙が出てくると思う。 花束贈呈とかありますよね? 誰だろう? 思いつかないけどやっぱり一番縁がある というのは若松さんですかね。あとはサプライズとかあるとすれば...... 。でもやっぱり悲しいな。だって好きな野球がもうできないんですよ......。僕が引退する時は、尾崎さんも絶対に泣いてくださいよ(笑)。
尾崎世界観が見た投打のレジェンド
18年にスワローズに戻ってきた青木さんは、技術的な細かい部分から野球に対する姿勢まで、若い選手たちに惜しみなく伝えてきた。2021年に日本一になり、22年にリーグ連覇達成。選手たちが成長し、チームとして強くなる喜びを知り、今はもう「満腹だ」と話していた。そしてその先の未来を見据え、ここ数年は「少し引いたところからチームを見ている」とも。
チームの未来を想い、一つでも多く何かを残そうとしている青木さんに、若い選手たちもきっと感じるものがあるはずだ。積み重ねてきた経験をもとにした貴重な 言葉。間近で目にする、1試合、1打席に臨むプロフェッショナルな姿勢。それらが選手それぞれの何かを変え、成長の糧となり、スワローズのDNAとして受け継がれていく。
チームには今、投打のレジェンドがいる。球界最年長選手である石川雅規さんと青木さん。野球を愛し、いつもポジティブで、探究心と情熱の火を絶やさない二人の存在はまさにスワローズそのものだ。
石川さんは、怪我人が多いヤクルト投手陣の中で“無事之名馬”とばかり毎年フル回転し、抜群のコントロールと投球術で打者を翻弄してきた。24年の開幕時点で、 通算200勝まであと「15」。石川さんの登板日にはいつも、ファンは記録達成を信じてその勇姿を見守っている。
青木さんは昨年から代打での出場も多くなってきたが、卓越したバッティング技術に裏付けられた勝負強さで、ここぞの一打を放つ。
ここ数年、二人はいずれも様々な思いの中で、現役を続けるという道を選んできたはずだ。その思いとは一体、どんなものだったのか。そして“その時”を、どのように決断するのだろう。
<前編から続く>