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「秋広、見ててつまんなくなかったですか?」巨人・阿部慎之助監督の辛口采配…100通り以上の“日替わりオーダー”でも、優勝を狙えるワケ

posted2024/09/19 11:04

 
「秋広、見ててつまんなくなかったですか?」巨人・阿部慎之助監督の辛口采配…100通り以上の“日替わりオーダー”でも、優勝を狙えるワケ<Number Web> photograph by JIJI PRESS

球審に選手交代を告げる巨人・阿部慎之助監督。今季100通り以上の“日替わりオーダー”を組んで首位に立っている(9月18日現在)

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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 打線をどう組むか。

 昨年の阪神は1番の近本光司外野手から8番の木浪聖也内野手まで、多少の入れ替えはあっても、ほぼ不動のオーダーを確立できた。それが一気に優勝街道を突っ走る原動力となったのは誰もが認めるところだろう。

 もちろんそうして打線が固められれば苦労はないが、その視点からすると今年も巨人は苦しい。首位に立ち、優勝マジック9が灯っても、相変わらずの“猫の目打線”。ほぼ日替わりのオーダーを組まざるを得ない試合が続いている。

 9月18日時点(以下同)で132試合を消化して110通りの打線の組み替えは、2年連続Bクラスに沈んだ昨年の143試合で122通りとほぼ変わらない数字である。シーズンを通して打順が固定されているのは4番の岡本和真内野手だけだ。5月17日から丸佳浩外野手が1番に起用され(1試合だけオコエ瑠偉外野手を起用)、9月10日から吉川尚輝内野手3番に固定されて結果を残しているが、それとてまだ8試合である。他の打順はそれこそ、いまもクルクル選手が代わっている。

 それだけ今年の巨人には、この3選手以外には安定して力を発揮できる打者がいないということだ。だからこそそこで問われるのは、機を見て敏にオーダーを編成する首脳陣のガバナンス力なのである。

 阿部慎之助監督がそのガバナンス力を発揮したのが、天王山といわれた9月10日からの広島3連戦だった。

「困ったときのベテランを並べた」

 初戦で2番に坂本勇人内野手を起用したオーダー。三塁コンバートに挑んだ今季の坂本は、開幕直後から打撃不振が続いて4月中旬にはファーム落ちも経験。一軍復帰後も本来の勝負強さは影を潜めて、絶頂時には考えられないような凡退後に首を傾げるシーンを何度も見てきたのが現実だった。

 この広島戦の直前も9月3日からの5試合で先発起用は2試合だけ。いずれも下位の6番での出場だった。その2試合では1安打ずつ放ったが、代打で出場した2試合はいずれも凡退。3日のヤクルト戦は出番もなかった。

 そんな坂本を大一番に、「2番」で先発させたのである。

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