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バレーボールPRESSBACK NUMBER
「真佑、バレーうまくなったね」石川真佑(24歳)に届いた親友からのメッセージとは?「高校の頃は一緒に泣いたり、笑ったりできたけど…」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2024/08/30 17:01
パリ五輪を終え、新しいシーズンに向けてイタリアに飛び立った石川真佑(24歳)
まるで見る気もなかったバレーボール。だが、気づけば夢中になっていた。石川にトスが上がれば高校時代と同様に「真佑、行け!」と叫び、決まれば手を叩いて大喜びした。交代が命じられた時も、負けた時も自分のことのように悔しくてたまらなかった。
「こんなすごい世界で戦っているんだって。勝ちたいのが伝わってきたし、何より真佑はこの世界で1点を獲るためにイタリアにも行った。それなのに最後まで出続けられなかったり、自分が思ったプレー、力を全部出せずに負けてしまった。めっちゃくちゃ悔しいだろうなって。高校の頃は一緒に泣いたり、笑ったりできたけど、今は離れているからそれもできない。何て言葉をかければいいのかなって考えたら、いい言葉が見つからなくて。なかなかメッセージも送れませんでした」
だからこそ、あえてサラリと、数日が過ぎてから「お疲れ」の言葉と共に、野呂が送ったのはテレビで見たそのままの感想だった。
「真佑、うまくなったね」
それを受け取った石川は、素直に嬉しかったと振り返る。
「(五輪を)観てねと言っても加南子は絶対に観ないだろうと思っていたし、そんなに熱くなって応援してくれたのも知らなかった。でも昔の自分を知っている仲間に、成長したと言ってもらえるのは嬉しいし、だからこそやっぱり頑張らなきゃ、って思います」
確かに芽生えている使命感
2019年に18歳で日本代表入りし、2度の五輪や国際大会、イタリアでの日々。喜びも悔しさも、数多くの経験を重ねてきた。
パリ五輪の最終戦、試合を終えた直後のミックスゾーンや帰国後の取材でロス五輪に向けた質問も飛び交った。その時は「今はわからない」と言うに留めたが、内心では確かな決意を抱く。
「次のチームを引っ張るのは私でしょ、とまではまだ言い切れないですけど、でもここまで経験してきた数はある。どんな役割、立場になるかはわからないし、次のチームがどんな監督、顔ぶれになるかもわからないけれど、自分がやるべきことをやらなきゃ、という思いはあります」
それならば、とあえて聞いた。
キャプテン、やりますか?