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「ヘタクソなのになぁ(笑)」三兄弟の末っ子・セッター深津英臣が明かす“パリ五輪に選ばれた兄貴”への本音「でも、セッターは技術だけじゃない」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byHideomi Fukatsu
posted2024/08/01 17:05
東海大学時代の深津三兄弟。左から三男・英臣、現在は日本代表コーチの次男・貴之、パリ五輪に出場する長男・旭弘
リオ五輪出場を逃した後、英臣は次の目標を東京五輪に定めた。2017年は主将を務めたが、2019年のネーションズリーグを最後に日本代表の試合からは遠ざかっている。
懸ける思いが強かった分、「代表の試合は見たくない時期もあった」と明かす。
「単純に悔しかったし、比べていたんです。俺だって、と思うけれど、俺には関田みたいなトスは上げられないと思っている自分もいる。そういうことを言うたび、旭弘には『お前そういうこと言うなよ』って怒られるから、こっちも『そもそも兄貴のトスだって』と言い返すからケンカになる。それは今でも同じですね。しょっちゅうケンカします(笑)」
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小学3年生になった息子はバレーボールが大好きで、リアルタイムで見るだけに留まらず、「次は石川(祐希)のサービスエースだよ」と次のプレーを記憶するほど、録画で繰り返し見ている。パリ五輪は、その息子と一緒にリアルタイムで見る予定だ。
「絶対見ます。朝4時からの試合はわからないですけどね(笑)。すごいな、いいな、と思うし、でも僕もまだまだ現役選手である限り、もう一度日本代表を背負いたい。オリンピックの開会式や閉会式なんて、アスリートとして夢ですよね」
兄がいて、共に戦う仲間たちの日本代表。期待がプレッシャーになることを自ら体験してきたが、それでも願わずにいられない。
「石川や関田が『金メダルを獲る』と言うなら、獲るでしょ。楽しみしかないですよね」
30歳を過ぎてから「パリが俺のピーク」と冗談半分で言っていた兄は、現実にして叶えて見せた。
がんばれよ。でも、俺だって負けないよ。
これ以上ない刺激が、もっと強く、うまくなるための活力だ。
(全3回・完)
◆NumberWebでは関田・深津の両セッターと深い縁で繋がる人物へのインタビューを公開中。第1回は清水邦広に、第2回は朝長孝介に話を訊いた。