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陸上・三浦龍司(22歳)が「パリはメダルが目標」と言い切るワケは? 調整レースで“異次元のスパート”…本人が語った東京との「大きな差」
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph bySatoshi Wada
posted2024/08/05 17:00
パリ五輪前の最終調整で圧巻のラストスパートを見せた三浦龍司。大舞台では日本初のメダル獲得を狙う
もともと落ち着き払っている三浦だが、3年前の東京五輪の時とは、立場も取り巻く状況も明らかに異なる。
「東京オリンピックの時は恐れ知らずで、勢い任せというところがありましたが、今回は準備期間があり、海外でレースや遠征の経験を積んできました。ある程度海外で戦ってきて、上位入賞など、自分なりにしっかり結果を出せているという手応えがあります。そこは(東京五輪の時とは)大きな違いだと思います」
今や世界大会の常連。世界最高峰のリーグ戦、ダイヤモンドリーグでも常に上位争いを繰り広げ、昨年6月のパリ大会では2位に入った実績もある。三浦が目標に掲げるメダルは、十分に見えるところにあると言っていい。
今季の三浦は5月のダイヤモンドリーグ・ドーハ大会で5位に入り、パリ五輪の選考基準もクリアして、早々に日本代表に内定した。そのため、3連覇中だった日本選手権を回避し、パリ五輪にピークを合わせるべく準備を進めてきた。
「自己ベストが1つの目標。欲を言えば、8分5秒あたりを出せるようになれば、ある程度、余裕をもったレース運びができると思う」
こう話すが、近年の世界大会を見ると、決勝で日本記録(8分9秒91)相当のタイムを出せれば、メダルに手が届く。もちろん、着順を争うレースなので記録は参考に過ぎないが……。
東京五輪以降、世界は「二強」の戦い
世界のライバルはどうか。
21年の東京五輪、22年のオレゴン世界選手権、23年のブダペスト世界選手権と3大会連続で、スフィアン・エルバカリ(モロッコ)が金メダルに輝き、銀メダルはラメチャ・ギルマ(エチオピア)が獲得している。ギルマは昨年のダイヤモンドリーグ・パリ大会で7分52秒11の世界記録を樹立しており、金メダルの最有力候補だ。エルバカリは、故障明けながら、5月のダイヤモンドリーグ・マラケシュ大会を制しており、パリ五輪に向けてはさらに調子を上げてくるだろう。
この2人の牙城を崩すのは簡単ではなく、その他にもライバルは多い。だが、ラストの叩き合いに生き残ることができれば、その時こそ、三浦が磨き上げてきたスパート力を爆発させる時だ。数々の“日本人初”を成し遂げてきた三浦が、パリ五輪のこの種目でメダル獲得となれば、もちろん日本人史上初めてのことになる。