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谷川萌々子19歳“魔法の30m弾”にブラジル実況「ノーン!」日本人が知らないサッカー王国の“なでしこ報道”「モモコは12歳から…名手だ」 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byTakuya Kaneko/JMPA

posted2024/07/31 06:30

谷川萌々子19歳“魔法の30m弾”にブラジル実況「ノーン!」日本人が知らないサッカー王国の“なでしこ報道”「モモコは12歳から…名手だ」<Number Web> photograph by Takuya Kaneko/JMPA

2ゴールに絡んだ谷川萌々子。ヒロインとなった彼女に対する、ブラジルメディアと記者の率直な印象は?

「ノーン!」(英語で言うノーの意味)

「スーパーゴールです」と谷川を褒めながらも、「信じがたいミスの連続! 断じて容認できない!」と怒りを露わにした。

 その一方で、解説を務めた元ブラジル代表FWパウロ・ヌネスは「冷静に分析すると、試合を通じて日本の方が良いプレーをしていた」となでしこを賞賛した。

 ブラジルの活字メディアはどうだったか。

「痛恨!ブラジルが後半47分まで日本を1-0とリードしながら、まさかの逆転負け」(スポーツ電子版『テーラ』)などと敗戦を悔しがった。

 ブラジル国内では、試合の最終盤に立て続けにミスを犯したラファエリに批判が集中。谷川がシュートをした場面でGKロレーナが前へ出ていたことについては、「バックパスを受ける可能性があったから、ポジショニングのミスとは言えない」という声が支配的だった。

日本通のチアゴ記者にも感想を聞いてみた

 この一戦、ブラジルのスポーツメディアきっての日本通であるチアゴ・ボンテンポ記者に感想を聞いた。

――まず、なでしこのGS初戦、スペイン戦(1-2で敗戦)をどう見ましたか?

「前半13分、藤野あおばの見事なFKで先制したが、その後はスペインの組織力と個人能力に圧倒された。スペインは昨年のワールドカップの覇者で、昨年の世界最優秀選手アイタナ・ボンマティ(MF)ら名手が揃っている。率直に言って、スコア以上の実力差があった。スペインはアメリカと並ぶ優勝候補であり、この敗戦は仕方がない」

――そして、ブラジル戦で、なでしこは右SB清水梨沙と藤野が故障したこともあり、先発メンバー3人を入れ替えました。一方、ブラジルは先発メンバー6人を変更。前半をどう見ましたか?

「序盤は両チームともに慎重にプレーしていたが、その後、次第になでしこが優勢となった」

――19分、GK山下杏也加の見事なロングキックが右サイドを走るFW宮澤ひなたに渡り、絶妙のクロスを入れたが、CF田中美南がシュートを外す。前半アディショナルタイムにはMF守屋都弥のミドルシュートがCBラファエリの手に当たってPKを得たが、田中のキックをGKロレーナが止めました。

「なでしこには2度の得点機があり、ブラジルの攻撃は散発的。なでしこが優勢だったが、決め切れなかったのは痛かった」

――そして、後半11分、ブラジルはエースのマルタが絶妙の縦パスを左サイドへ送り込み、そこからのクロスをFWジェニフェールが決めた。

「すでに38歳とはいえ、世界年間最優秀選手に6度選ばれているマルタのテクニックと状況判断はすごい。1本のパスで、日本の守備陣を完全に崩した」

モモコは魔法を発動した。12歳の頃には…

――その後、なでしこは池田太監督が谷川ら次々にアタッカーを投入して攻勢を強めた。そして、最終盤の大逆転劇……。

【次ページ】 MVPはもちろんタニカワ。だけど“あと2人”も…

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