「1点目につながったPKはブラジルにとっては不運で、判定が厳しかったとは思う。しかし、谷川萌々子の決勝点は見事。ゴールと創造性を担うミッドフィルダーとして試合展開を完全に変えたし、ゴールシーンでは魔法を発動した。彼女は、以前にもあれに似たゴールを決めたことがある。状況判断が素晴らしい」

ハートマークを作る谷川　©Takuya Nakachi/JMPA

――谷川について知っていることはあるでしょうか。

「聞いた話によると、小学生の頃に名古屋グランパスのジュニアチーム（グランパスみよし）に所属して、12歳でキャプテンを務めていた経験があるそうだね。19歳にしてフットボールのクラッキ（名手）という印象だ」

MVPはもちろんタニカワ。だけど“あと2人”も…

――なでしこで良かった選手は？

「MVPはもちろん谷川。だけど、守備陣ではCB熊谷とボランチの長野風花が良かった」

チアゴ記者が高評価したナンバー10の長野　©Takuya Nakachi/JMPA

――31日（日本時間では8月1日）、なでしこはGS最後のナイジェリア戦に臨みます。これも中2日の厳しい日程ですが、先発メンバーをどうすべきだと思いますか？

「私が監督なら、ブラジル戦の大殊勲者である谷川を起用する。また、CFには少しツキがない田中の代わりに植木理子を使いたい」

――ただし、なでしこがGS2位となったら、準々決勝ではB組首位と対戦する。優勝候補のアメリカと当たることになりそうです。

「そうなんだよね。もしブラジルがスペインを倒し、なでしこがナイジェリアに勝てば、なでしこがGSを首位で勝ち上がる可能性が出てくる。日本としては、ブラジルのアシストに期待したいところだね（笑）」

　なでしこは、絶体絶命のピンチ、敗退の淵から見事に生き返った。しかし、これからも茨の道が続く。引き続き、目の前の試合にベストを尽くし、全身全霊を傾けて戦い続けてもらいたい。＜つづく＞