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慶応大卒の異色ランナー・樺沢和佳奈(25歳)とは何者か?「将来的に起業したくて…」悲願のパリ五輪出場までにあった「2つの異例の決断」

posted2024/08/01 11:03

 
慶応大卒の異色ランナー・樺沢和佳奈(25歳)とは何者か?「将来的に起業したくて…」悲願のパリ五輪出場までにあった「2つの異例の決断」<Number Web> photograph by AFLO

パリ五輪で女子5000mに出場する樺沢和佳奈(25歳)

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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 総勢55名がパリ五輪に出場する日本陸上「チームJAPAN」。女子5000mで選出された樺沢和佳奈は「信じられませんでした」と振り返った。

 代表選考を兼ねた6月末の日本選手権では、思い通りの走りができず9位でフィニッシュ。レース直後、樺沢自身が「(2025年の)世界選手権へ向けて頑張ります」と語っていたように、パリへの道は潰えたかに思えた。それでも、まずは内々の連絡で吉報が届く。

「監督の方へ(代表入りの)連絡が陸連(日本陸上競技連盟)からありました。でも『本当かなぁ?』と(笑)」

 この時点では正式発表はなく、事前連絡を受けた監督からの報告だったため、最初は信じられなかったという。その後、世界陸連は他国・地域の辞退などを加味し、出場枠を再配分。日本の枠が増えた。迎えた7月8日、日本陸連はパリ五輪の追加内定選手4名を発表。“樺沢和佳奈”の5文字が正式に記された。

「色々と吹っ切れたあとでの発表だったので、すっきりしています。(メンタルは)良い状態に持っていけています」

 そう笑顔で話す姿からは、淀みない充実感が漂っていた。五輪本番へ向けての調整も順調そのものだ。7月13日のホクレン・ディスタンスでは、3000mで自己ベストを更新。心身とも最高の状態で晴れ舞台を迎えようとしている。

慶応義塾大への進学「将来的に起業したくて」

 全国中学駅伝連覇をはじめ、早くからトップランナーだった樺沢は高校卒業後、意外な進路を選んだ。慶應義塾大への進学である。

「実業団に行く流れはありましたが、このままでいいのかなと思いました。中学、高校と強豪校に在籍して、世界ジュニアや世界ユースにも出場しました。でもこのまま環境が整っているところにいてこれ以上の成長はあるのかなと思ったんです。それに、せっかく大学に行くなら色々な面で成長したいなと思いましたし、将来的に起業したくて慶應の総合政策学部に入りました」

 同大学は山縣亮太ら短距離における活躍は知られているが、長距離部門は発展途上だ。ましてや、高校卒業後すぐに実業団加入の選択肢があったことを鑑みても、異例の決断と言えるだろう。

「分かってはいましたが、長距離の女子は私だけだったので大変でした。でも後悔はなかったです」

 あえて選んだ難しい環境。それでも結果を残した。大学4年時の'20年、日本インカレでは1500mと5000mでいずれも3位。選択が正しかったことを自らの走りで証明してみせた。

【次ページ】 大学卒業後に、もうひとつの“異例の決断”

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