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藤井聡太七冠“おやつ手筋”と棋士お菓子伝説「ぴよりん」は今も名古屋駅で行列…加藤一二三は「板チョコ6枚、カルピスをジャーにいっぱい」

posted2024/07/22 06:00

 
藤井聡太七冠“おやつ手筋”と棋士お菓子伝説「ぴよりん」は今も名古屋駅で行列…加藤一二三は「板チョコ6枚、カルピスをジャーにいっぱい」<Number Web> photograph by 日本将棋連盟

王位戦第2局の藤井聡太七冠と、2日目午後のおやつに注文したテリーヌ・ド・ショコラ、アイスティー

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田丸昇

田丸昇Noboru Tamaru

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 藤井聡太王位(22=竜王・名人・王座・棋王・王将・棋聖を合わせて七冠)に渡辺明九段(40)が挑戦している伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦七番勝負。両者がタイトル戦で対戦するのは、藤井竜王が渡辺名人に挑戦して4勝1敗で名人を獲得した第81期名人戦七番勝負以来で、1年1カ月ぶりのことだった。

 挑戦者として藤井と対戦する渡辺の率直な心境、渡辺が最終盤で長手順の即詰みを逃して逆転負けした王位戦第1局、渡辺が勝って五分に持ち込んだ第2局を、田丸昇九段が解説する。

 そして渡辺が王位戦でこだわったのは「おやつ」の食べ方だった。その「おやつ」にちなんで、藤井が注文した飲食物、「ぴよりん」を筆頭に超人気商品となったお菓子、菓子メーカーがプロ棋戦を主催、大棋士の珍妙エピソードなどを紹介する。将棋の対局と「おやつ」の関連は、なかなか深いものがある……。

王位戦初登場の渡辺明が語ったこと

 まずは、王位戦第1局を振り返っていこう。

 渡辺九段は藤井王位への挑戦に際して、率直な心境を次のように語った。

「私は王位戦に初めて登場します。こんなに早くタイトル戦の舞台に戻ってこれたのはうれしい誤算です。昨年の名人戦から藤井さんとの対局は1年間なく、リセットする気持ちで臨みます。序盤研究の精度は、藤井七冠、永瀬拓矢九段(31)、伊藤匠叡王(21)がベスト3。中でも藤井さんは中終盤のミスが少ない。

 私はトップ棋士の中で、終盤は弱い方だと自覚しています。ただ2日制タイトル戦の方が結果が出ていて、封じ手の駆け引き、戦型のローテーションなどで経験値があります。私の妻(伊奈めぐみさん)が描いている漫画『将棋の渡辺くん』には、藤井さんが所々に出てくるので妻が寄贈しています。藤井さんも愛読しているそうです」

「99対1」の逆転劇、棋士視点で見ると…

 王位戦第1局は7月6日・7日に愛知県名古屋市「徳川園」で行われた。振り駒の結果、藤井の先手番に決まった。戦型は藤井の雁木に渡辺は右玉。その後、両者の駒組み手順が進む中で手詰まりとなり、2日目の15時44分に同一局面4回で無勝負の「千日手」が80手で成立した。

 指し直し局は先手・後手を入れ替えて30分後に再開された。持ち時間は、藤井が1時間、渡辺が2時間20分。相掛かりの戦型から力将棋が展開され、渡辺が攻め込んで飛車が敵陣に侵入した。藤井も反撃して攻め合いとなり、両者1分将棋の秒読みの中で壮烈な寄せ合いが繰り広げられた。

【次ページ】 「99対1」の逆転劇、棋士視点で見ると…

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