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巨人の開幕投手にノーヒットノーランも…戸郷翔征が進化する秘密は“メジャー流”の仕上げ過ぎないキャンプにあり?「投げ込みは100球を超えない」 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byHideki Sugiyama

posted2024/07/04 17:37

巨人の開幕投手にノーヒットノーランも…戸郷翔征が進化する秘密は“メジャー流”の仕上げ過ぎないキャンプにあり?「投げ込みは100球を超えない」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

巨人の開幕投手を務め、5月にはノーヒットノーランも達成。ここまで6勝をあげ防御率1.98と好調を維持する戸郷翔征。その進化の秘密とは?

 メジャーのキャンプで投手は100球を超えるような投げ込みはもちろん行わない。ヘタをすればブルペンでは20球から30球程度の投球数をリミットに調整して、あとはオープン戦で50球程度まで上げて開幕を迎える。

 実は主力打者も同じような感じでキャンプの調整をする。この仕上げ過ぎない調整法こそ、公式戦に入って好調を長い間に渡って持続し、シーズン162試合をほぼ6カ月間で戦いぬく過酷なメジャーのスケジュールの中で成績を残していく手段なのだ。

 ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平が「ミスター・ジューン」として6月に大爆発するのも、そんなメジャーのトップ選手の調整法の結果と言えば納得できるところである。

 ただその一方でレギュラーが確約されていない選手、特に打者は、定位置奪取のためには開幕直後が勝負。そこでキャンプからフルスロットルでの調整になりがちだ。日本からメジャーに挑戦した選手に、特にそういう傾向があり、多くの選手が開幕直後のスタートダッシュには成功する。しかし1カ月、2カ月とシーズンを消化していくうちに成績が落ちてしまう。相手はだんだん状態が上がり、こちらは状態の下降が早く始まり、数字も落ちてしまうのだ。

 そう考えると今年の戸郷は、期せずしてそんなメジャー流のキャンプ調整となり、その結果がここまでの好成績につながっている可能性がある。そういうキャンプの結果を、本人も自覚しているのである。

メジャー流の“仕上げ過ぎない”キャンプ

 特に戸郷の場合はこの3年間は毎年トータルで2500球以上を投げて、年間投球数が多い投手の一人となっている。そういう実績とデータを考えると、決してキャンプは鍛錬の場ではなく、まさに調整の場と割り切ってシーズンに向けて肩を休める方が好結果に結びつくこともありそうだ。

【次ページ】 メジャー流の“仕上げ過ぎない”キャンプ

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