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なぜ同じ時代に…男子バレー“2人の最強リベロ”に非情な通告「どちらも世界レベル。でも1人しか選べない」小川智大が漏らした山本智大への本音
posted2024/06/07 11:07
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Getty Images
「オレならできる」
6月5日に行われたネーションズリーグ・ドイツ戦の第5セット前、他の選手たちの輪から少し離れ、日本代表のリベロ・山本智大は1人、頭の中でそう繰り返し、必死に自信を取り戻そうとしていた。第4セットまでのことは一旦忘れて、立て直す。笛が鳴ると意を決して真っ先にコートに駆け込んだ。
第4セットまでは、アグレッシブで自信に満ちたいつもの山本ではない場面も見られた。選手間を狙ってくるドイツの精度の高いサーブにエースを奪われたり、“世界一”と称されるディグでもミスがあり、「僕の人生の中で結構悪い試合。こういうしんどい時を乗り越えて成長すると思うので、ポジティブに捉えたい」と試合後振り返った。
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石川祐希と高橋藍が合流してまだ間もなく、昨年できていた連係を取り戻せていなかったことが大きいが、プレッシャーとも無縁ではなかっただろう。
パリ五輪に向けたポジション争いの過酷さがひしひしと伝わってくる試合だった。
「パリは1人しか連れていけない」
バレーボール男子日本代表は昨年行われたパリ五輪予選で五輪出場権を獲得した。だが五輪予選やネーションズリーグではベンチ入りメンバーが14人だが、五輪は12人。現在、パリ五輪のメンバー入りに向けた激しいポジション争いが繰り広げられている。
今年の代表合宿初日、リベロの山本と小川智大は、フィリップ・ブラン監督に呼ばれてこう告げられた。
「本当に2人ともいいものを持っているし、世界でも通用するリベロ。ただオリンピックは12名なので、1人しか連れていけない」
それは2人とも覚悟していたこと。ただ、ネーションズリーグで交互に起用される中、1試合ごとにその言葉は重みを増す。前日のイラン戦で小川が見せた高いパフォーマンスも、もしかすると山本に影響していたかもしれない。