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マルク・マルケス、来季のドゥカティ・ワークス入り確実! 急転直下の移籍報道の舞台裏…ドゥカティは最強体制へ 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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photograph bySatoshi Endo

posted2024/06/05 11:00

マルク・マルケス、来季のドゥカティ・ワークス入り確実! 急転直下の移籍報道の舞台裏…ドゥカティは最強体制へ<Number Web> photograph by Satoshi Endo

スペインGPではトップ争いを繰り広げたバニャイアとマルケス。このふたりが来季はチームメートとなる

 ドゥカティを最強軍団に育て上げたジジ・ダッリーニャ・ゼネラルマネージャーは、「早い時期にもうひとりのライダーを発表できる」と語り、アプリリアのマッシモ・リボラ・マネージングダイレクターは発表後のドルナ・スポーツのインタビューに対し、「日曜日の夜に急きょホルヘとの契約を決めた」と急転直下の決定劇だったことを明かした。もはやマルケスのドゥカティ・ワークス入りはほぼ確実であり、あとは正式発表を待つばかりである。

 ドゥカティ陣営にとっては苦渋の決断だったに違いないが、正しい判断だったと思う。なぜなら、マルケスが1年落ちのマシンで驚異としか言いようがない走りを披露している事実を、ドゥカティ陣営はもちろん、だれもが良く知っているからだ。

 ドゥカティの23年型デスモセディチGPと24年型には、パッと見ではわからないが多くの違いがある。ワークスマシンに乗るバニャイアとマルティンが「24年型は進化している」と事あるごとに語っているし、イタリアGPのタイムを見ても、バニャイアは11周のスプリントのタイムで約11秒、23周の決勝レースでは約25秒、それぞれ昨年の記録から短縮している。

 1周で1秒以上の進化というのは驚異的としか言いようがない。その最大の要因はエアロにあると想像され、超ハイスピードサーキットのムジェロでは24年型デスモセディチGPが表彰台を独占した。1年落ちのデスモセディチGPに乗るマルケスは一時3番手に浮上するも、結果は約2秒遅れの4位。それだけでも驚きだが、ドゥカティに乗ってわずか7戦で何度も表彰台に立ち、チャンピオン争いに加わっているという実力は誰もが認めざるを得ない。

待たれる正式発表

 そのマルケスが勝てるワークスチーム、マシンを求めてドゥカティ陣営を離れたら、ドゥカティにとっては最大の脅威となる。その一方、マルケスがワークスチーム入りしたら、バニャイアとのビッグネーム2人体制となり、まさに最強チームとなるに違いない。

 マルケスのドゥカティ入り確実の報道は、おそらくマルケスとドゥカティ・ワークスのシートを争っていたマルティン陣営からリークされたことは容易に想像がつく。なぜなら、パドックで情報を得ようとするとき、当事者たる選手やごく身近な人物の話が一番精度が高いからだ。もちろん、選手たちとの信頼関係もあるからむやみやたらには書けないが、今回はマルティンがアプリリアと契約したことで“情報解禁”になったのだろうと思う。

 ホンダ時代に絶対王者として君臨したマルケスは、最強チームで再び絶対王者として君臨できるのだろうか。イタリアGPを終えてグランプリは3週間の休みに入るが、早ければ次戦オランダGPではドゥカティから正式発表があると思われる。そうなると大変な騒ぎになることは間違いなく、その発表がいまから楽しみでもある。

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