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大谷翔平は“眠れない夜”をどう乗り越えたのか? 水原一平騒動から2カ月、大活躍のウラで語った仲間への感謝「失った以上に支えてもらって…」
text by
阿部太郎Taro Abe
photograph byGetty Images
posted2024/05/18 17:01
開幕直後から“激動の2カ月”を過ごした大谷翔平。復調のウラには、「失った以上に支えてくれた」という仲間たちのサポートがあった
14日の試合後、大谷はこう語った。
「最初の方は色々あったので、睡眠が足りない日が続いていたが、最近は時間にもだいぶ余裕が出ている。いい睡眠を取って、1日1日大事にプレーができている」
司法当局やリーグへの事情聴取で、野球になかなか集中できない日々が続いた。だが、一段落した今だからこそ、胸の内を明かしたのだろう。
「みんな、翔平にウェルカムな雰囲気を作りたい」
水原被告がいなくなって、大谷が変わったという声は多く耳にする。
ロバーツ監督も「緩衝材がなくなって、コミュニケーションが取りやすくなった。翔平も積極的に話すようになった」と語る。ある選手も「連絡を取るのは常に一平だった。やりにくかったが、今は話しやすい」と明かす。
クラブハウスでの大谷の行動を見ても、トレーナーやスタッフと会話をしながら練習の予定を立て、選手とは試合のことを話し合っている様子だ。2人の閉鎖的な空間がなくなり、大谷を取り巻く環境はオープンになった。
サンディエゴ遠征の5月12日、大谷は腰の張りを訴えて休養を取った。ロッカーで座ってソックスを履いていると、チームリーダーの一人、ミゲル・ロハスが近づいてきた。「翔平、大丈夫か?」と聞き、大谷も頷いてグータッチをした。
ロハスは「翔平がクラブハウスで心地よくなってほしい。みんな、翔平にウェルカムな雰囲気を作りたい」と語る。
こういったサポートに、大谷は助けられたと語る。長年、信頼してきた相棒に裏切られた喪失感より、感謝の気持ちが強いという。
「(親友を)失った以上に、チームメート、チームもそうだが、支えてもらっている人たちがたくさんいる。むしろそっちの方がありがたいと感じる面が多い」
フィクションでも思いつかないような激動の2カ月だった。
だが、稀代のスターにはそれを乗り越える力があった。そして、彼を支える仲間たちがいた。